AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

北海道アイヌ協会、加藤理事長:「発掘された時の姿に戻すことが、あるべき慰霊の姿だ」(w/ P.S.)

 数日間ブログを書くどころではない状況なのだが、その間に下の新聞記事のような行事があったようだ。2つ前の「議事概要」の記事を書き直して出すからと、ある読者にお知らせしたままになっていたのも気にかかっているが、それはもう少し状態が良くなってからということにさせて戴いて*1、取り敢えず、これだけは書きとどめておかずにいられないという思いで書いておく。

「遺骨返還に国際的後押しを」 アイヌ協会理事長、考古学会議で
北海道新聞(09/02 07:00)


 北海道アイヌ協会の加藤忠理事長は1日、京都市内で開催中の世界考古学会議の全体会合で演説し、世界各地に研究目的などで渡ったアイヌ民族の遺骨について返還への協力を呼び掛けた。会合では同様の問題で先進的に取り組んでいる米国などの先住民族から提言が寄せられ、国際的に連帯することを確認した。

 世界考古学会議は86カ国・地域約1800人の考古学者が意見を交換する世界最大規模の学会で、東アジアでの開催は初めて。8月28日から2日までテーマ別で分科会を開いている。そのテーマの一つである先住民族問題は関心が高いことから全体会合の議題となった。

 加藤理事長は国内の大学や博物館で約1600体のアイヌ民族の遺骨が保管され、ドイツなど海外でも複数の遺骨が確認されていると説明した上で「全容は未解明のままだ」と指摘。「国の責任の下で、発掘された時の姿に戻すことが、あるべき慰霊の姿だ日本の取り組みに国際的な後押しをしてほしい」と訴えた。

 ハワイ先住民族の考古学者アウリ・ミッチェルさんは、法整備によって6千体以上の返還が実現していると報告し「先住民族に関する知識が世代間で継承され、国民にも広く理解されている」と述べた。米スミソニアン国立自然史博物館で遺骨返還を担当する米国の先住民チョクトー族のドロシー・リパートさんは、先住民族自らが返還に関わることの重要性を説いた。

 強調した部分は、本気なのだろうか。では、これまでのアイヌ政策関連会議でのアイヌ協会の代表者たちの言動は、全部誰かに操作されたものだったのか? 公開された最近の「議事概要」では、国際的返還を理由に「慰霊施設」の規模を維持しないといけない、「小さくなってしまって何が何だかわからなくなってしまったら私としては困る」(p. 7)と述べていて、何が個人的に困るのだろうと思っていた。とにかく、「発掘された時の姿に戻すことが、あるべき慰霊の姿だ」と世界に向けて公言したわけだから、これからは、これが北海道アイヌ協会の方針として行動してもらいたいものである。*2

 続きの予定があったからまだ名前は出さずにいたのだが、「サハリン アイヌの遺骨返還/国境で分断された北米先住民族への遺骨・文化遺品の返還」に登場しているのがドロシー リパートさんだ。今回の学会で彼女が何を報告したのか/報告はしなかったのか知らないが、話の続きは、ただ国に任せるのではなく、「先住民族自らが返還に関わることの重要性」ということ以外の点でも、これまでに表明されてきた北海道アイヌ協会の考え方とは必ずしも一致していないと思われるものである。

P.S. #3(09.08):問い合わせても返事は来ないからここに書くけれど、北海道アイヌ協会ホームページ担当の方へ。
 これこそ「理事長の動向」で広く広報するべき「動向」だと思うのですが、どうして出ていないのでしょうか。

P.S. #4(09.09):加藤理事長の発言について届いたいくつかの反応は、懐疑的なものばかりだった。
 道新は引用符を用いて書いているが、その通りに発言したのだろうか。「あるべき慰霊の姿だ」が、しかし・・・と続いたのかもしれない。いずれ主催者がどこかに公開するのではなかろうか。
 「日本の取り組み」というのも、チョット気にかかる。いちいち過去の記事をリンクしないけれど、有識者懇談会の頃から、北海道アイヌ協会札幌医科大学との取り決めが国連の「権利宣言」の「具体的な取り組み」という驚いた発言もあった。加藤氏は、壇上でそれも言って、海外の遺骨返還先進国からの考古学者の反応をうかがってみれば良かったのだ。
 このブログにおける先住民族への国際的な遺骨返還に関する記事は、右上の検索窓に「国際的返還」と入れて戴ければ挙がってくる。但し、欧州諸国からオーストラリアやニュージーランド先住民族への返還については、すべてに「国際」と入れているとは限らない。

P.S. #5(09.13):ふと思った。私は「発掘された時の姿に戻すこと」というのは原状回復、つまり加藤理事長が再埋葬が「あるべき慰霊の姿」と述べたと受け取ったのだが、彼が言う「発掘された時の姿」とは、バラバラにされている遺骨を元の1つの「姿に戻す」という意味だったのではないかと。その方が、これまでの流れの中で辻褄が合う!
 「演説」の全文をどこかに公開して欲しいものである。

P.S. #6(09.15, 0:30):読者にも、加藤理事長の発言は再埋葬を意味していたと解していた人がいるようで、どうも混乱を招いているようでもある。やはり、北海道アイヌ協会には、加藤理事長「演説」の全文を公開して欲しいものです。

*1:P.S.:もしかしたらずっと書けないか、書けても書かないかもしれませんが、その時はお許しを。書いても仕方ないと思って途中で放り出したままなので。ただ、大事な会議内容であったとは思います。

*2:P.S.:過去にこのようなこと(「『ニュージーランド ヘラルド』紙の遺骨返還請求訴訟に関する記事について」「『人権問題』としての遺骨の扱い」)も経験しているから、方針を変更したのなら――ありそうにないが――きちんとホームページで公式見解を表明して欲しいものである。今回の「演説」の全文もホームページで公開するとよいだろう。