AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

アイヌ民族とアボリジニの遺骨(w/ 3 postscripts)

 先日、こちらの記事のP.S. #3を書いた時にweb上で読めなかったので(月に5本の無料記事を超えたから)取り込めなかったけれど、毎日新聞でも「アイヌ遺骨:豪州にも アボリジニの遺骨と交換か」(2016年09月03日)という記事が出ていた。北海道では2日に出ていたようである。

 「アイヌ遺骨 豪州にも アボリジニの遺骨と交換か」毎日新聞 2016年9月2日 北海道朝刊)


 オーストラリアのメルボルン博物館にアイヌの遺骨1体が保管されていることがわかった。京都市で開催中の世界考古学会議で8月30日、オーストラリア国立大の研究者が報告した。
 報告によると、遺骨は、日本の人類学者と同博物館担当者が「資料交換」として豪州などの先住民アボリジニの遺骨と引き換えに送った記録が残っているという。今後、性別や収集した場所、時期など詳細の調査をする。
 アイヌなど先住民の遺骨は19世紀以降、人類学などの研究名目で大量に収集された。毎日新聞の調査で、ドイツ国内にアイヌの遺骨17体が保管されていることが判明している。
 北海道大アイヌ・先住民研究センターの加藤博文教授(考古学)は「さまざまな先住民族の遺骨が研究者間のネットワークでやりとりされており、国内の大学や研究機関がアボリジニの遺骨を保管している可能性がある」と話した。【三股智子】

 そして昨日、北海道新聞がそのフォローアップ記事を出したようだ。(またもや毎日と道新だけなのかな? いっそのこと、競合せずに、限られた資源を分かち合って共同で取材しては?)

アイヌ民族とアボリジニの遺骨交換か 東大と豪博物館北海道新聞 9月21日 07:00、09/21 17:13 更新)


 オーストラリアの博物館が、1930年代に東大からアイヌ民族の遺骨の提供を受け、それと交換する形で同国の先住民族アボリジニの遺骨3体を送った記録があると、北海道新聞の取材に明らかにした。東大は「現在、調査中」(広報課)としている。オーストラリア政府は国内の先住民族と共同で海外に持ち出された遺骨を取り戻す政策を進めており、日本国内でアボリジニの遺骨の保管が判明すれば、両国の間で返還問題が浮上しそうだ。

 アイヌ民族の遺骨をめぐっては、今年に入ってドイツの博物館が保管を認めるなど、研究目的で海外に渡った遺骨の事例が相次ぎ明るみに出た。今回判明したのは、反対に海外の先住民族の遺骨が日本にもたらされていた可能性を示すこれまで知られていなかったケース。日本政府はほかの交換事例があるかも含めて実態調査が課題となり、各国にあるアイヌ民族の遺骨返還をどう進めていくかも問われそうだ。(報道センター編集委員 小坂洋右)

 オーストラリア国立大学にはないのかな?
 それに、日本にある海外の先住民族の遺骨は、豪州アボリジニのものだけではないでしょう。これからどんどん出て来るだろう。

 血液を「集約」する「慰霊施設」は政策課題にあがってないから、どこの新聞社も見向きもしないか。
関連記事:
「日豪研究者によるアイヌの血液・唾液採取――海馬澤さんの疑問に一部答える」
「研究者と新聞社の『共犯関係』」
「アイヌの遺骨と血液の研究における類似の課題」

 ①を書いた頃だった。メルボルンに滞在していた旧友に小さな依頼をしようとしたのだが、こういう問題には関わりたくなかったようで断られた。

P.S.(09.22, 22:30):現在マリアナ諸島西方にある熱帯低気圧は、明朝、台風17号に変わるだろう。

P.S. #2(23:52):こちらのP.S.をご覧ください。

P.S. #3(09.23, 23:30):
★国内の人骨研究者の見解を
 もしかしたら「全文を読む」の先にあるのかもしれないが、この記事のように「バランス」を取って、研究者たちの声も交えて論説を掲載して欲しいものである。とりわけ、国内で人骨を「守る」と言う人類学者や考古学者たちが海外にあるアイヌ遺骨の扱いについて何と言うのか、「国民」は知りたいだろう。貴重な学術資料だからそのままにしておけと言うのか、日本に持ち帰れば、自分たちが整理して後を引き継ぐと言うのか。次の記事ではきっと取材して報じてくれることであろう。

アイヌ遺骨の国際返還報道への「なぜ、なぜ、なぜ?」
 熱心に探したわけではないから、もしかしたら他紙も報じているのかもしれないが、もしこの件を大きく取り上げているのが毎日新聞北海道新聞だけなら、それはなぜなのか。出し抜かれた他紙は、起死回生を狙って取材を続けているのか。
 海外に持ち去られているアイヌ遺骨の返還が重要ではないと言うつもりは毛頭ない。しかし、なぜ今なのか。何かが動いている。いくつか考えられるシナリオが思いつく。しかし、まだ靄がかかってから、今は余計な推測は書かないでおく。だが、一歩離れて観察する必要があるだろう。