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AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

地名変更/「先住民族の日」/考古学調査/人権博物館

★デヴィルズ タワー

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 上の写真の地は、日本人の多くにも見覚えがあるだろう。特に私たちの世代には、スピルバーグの1977年の映画、「未知との遭遇」(Close Encounters of the Third Kind)に登場した場所として記憶されているかもしれない。この場所は、非先住民族の世界では"Devils Tower"として知られている。110年前にセオドア ロゥズヴェルト大統領が最初の国定記念物に指定した*1。しかし、面白いことに、アポストロフィを打つのを忘れてしまい(!)、"Devil's Tower"(悪魔の塔)が上のように「悪魔たち(の)塔」となってしまった。
 しかし、もっと大きな間違いは、その地名そのものが翻訳の間違いに基づいていて、その場所の宗教的意義を考慮すれば、地元の先住民族にとって不快な名称となっていることである。

 地元のグレート スー ネイションの精神的指導者、チーフ アーヴォル ルッキング ホースは、米国地名委員会(Board on Geographic Names)に"Bear Lodge"(熊の宿)と地名を変更するよう請願し、オバマ政権にベア ロッジ国定記念物と変更するように求めている。支援者たちは、オバマ大統領が任期中に変更することを期待している。大統領には地名変更と新たな国定記念物を指定する権限があり、前にもオバマ政権の(サリー ジューエル長官による)アラスカ州のマッキンリー山のデナリ山への変更をここで紹介したことがある。

 他の地元の住民は、名称変更は不要で、混乱を生じさせるし、観光に悪影響を及ぼすとして、反対している。世界の大多数の人間が"Devils Tower"として認識しており、邪悪なものとは見ていないと。反対派住民は、同州の共和党議員団に、少なくとも名称変更を阻止し続けるよう期待している。

 "Devils Tower"は、昨年、約48万人の観光客を集めたが、その中には、そこで定期的に宗教的儀式を行う先住アメリカ人も含まれる。同地は、少なくとも26の関係トライブにとって聖地である。6月に多くの宗教的儀式が執り行われるため、米国公園局は、訪れるロッククライマーに6月は自主的にTowerに登ることを控えるように要請している。

 公園局によれば、1874年から1901年のほとんどの地図が、その塔をBears Lodge――ルッキング ホース氏のラコタ語では"Mato Tipila"――と記している。地元のトライブには、どのよにして塔が創られたのかについて独自の伝説があるが、ほとんどに、熊が塔の頂上にいる人間に触れようとして岩を爪で引っ掻いた話がある。

 1870年代の陸軍率いる遠征隊の長が、地元のトライブが同地を「邪悪な神の塔」と呼んでいると報告し、それが遠征隊隊員の意見が"Devil's Tower"の名に落ち着く結果となった。そして、冒頭に書いた通り、アポストロフィが落ちたというわけである。

 しかし、さらに公園局によれば、トライブが同地を邪悪な神や邪悪な霊と関係づけているという歴史的証拠はなく、遠征隊がつけた名前は誤訳の結果だったのではないかということである。

 地名委員会は、慣例として、議会である場所の名称に関する法案が検討されている間は動くことがない。ワイオミング州の上下両院議員団は、連邦法で現在の地名を保存する法案を提出している。同州知事も変更に反対している。

 ルッキング ホース氏は、反対意見は観光客のカネを失うことの恐れに集中していると述べている。地名委員会が動けない状況で、地名変更を望む人々は、オバマ政権の決断に期待をかけているのである。地名委員会が「合理的な時間内」に行動しなければ、内務省長官が地名を変更できる。しかし、「合理的な時間内」には、具体的な規定はない。

 <ここに挿入していた映像は、自動的に始動するので削除しました。>

 以上は、次の記事からアレンジして書いた。APの記事だから、他紙も取り上げているかもしれない。Native Tribes seek name change of iconic, sacred landmark Devils Tower

☆「先住民族の日」
 コロラド州デンバー市議会が、同州のボルダー他の市議会に続いて、12-0で10月の第2月曜日を「先住民族の日」と永久承認した。市が定める休日とはならない。
「私たちの市は、私たちのまさに土台をデンバーの先住諸民族に負っている。
「私たちがこれを行うのは、私たちの歴史の本がそのような歴史を消しているからである。
「それをもはや不可視ではなくすことによって称える。」

 同市は、昨年10月に1年限りの宣言を行った。しかし、今年は、8月に毎年の「先住民族の日」を定める全米で14番目の市となった同州のボルダー市に続くこととなった。その他の都市には、アルバカーキ、シアトル、ミネアポリスポートランドオレゴン州)などがある。

 先住民族の活動家や支援者は、40年近くも連邦祝日の「コロンブスの日」と取りかえるように運動してきた。しかし、「コロンブスの日」は、まだ州の法定祝日でもある。祝日を「先住民族の日」に変更する目的の法案は、4月に州議会で否決されている。

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Denver approves permanent recognition of Indigenous Peoples’ Day on Columbus Day

★考古学調査
 先日の投稿で、スタンディング ロック スー トライブの祖先埋葬地の存在と破壊をノースダコタ州知事が否定した記事を掲載しておいたが、10月4日に出された同州の歴史協会の7人の考古学者たちによる報告書の結論に異議を唱えている。パイプライン建設会社は、調査にトライブが参加することを拒んでいた。それが、既に悪化している関係をさらに悪化させている。
 同トライブの歴史保存職員のジョン イーグル シニア氏は、同トライブに調査させるように求めている。

Tribe Disputes State Archaeologist’s Report

☆カナダ人権博物館
 過去に「大物たちは逃れる」バフィー・セントメリーさんに音楽名誉博士号の他にも言及したことのあるバフィー セントメリーさんが、水曜日午後7時からのカナダ人権博物館での講演を前にして取材に応じて語っている。ウィニペグにある博物館で彼女が講演するのは、2014年の開館時に続いて2度目だそうである。*2

 彼女は、先住カナダ人の身に起こったことの一部を見せ、話をすることができる成人向けの特別室を人権博物館にいくつか作るべきであると提案している。すなわち、博物館が、寄宿学校で先住民の子どもたちが直面した残酷な条件についてもっと詳しいことを知らせるところを見たいと述べている。

 「私たちは、彼らがどんな風に子供たちの髪を切ったか、あるいは自分の言葉を話させなかったについて聞きます・・・電気イスについてはどうなの? 牛追い棒はどうなの? 子どもたちの体に貼り付けて子供たちをキリスト教徒にしたり、口答えしないように、あるいは自分自身の考えを持たないように虐待しようとした電線のことはどうなの。」

 開館時にいくつかの反対意見を持っていた彼女は、開館以来、博物館がどのように対応したのかを見たいとも語った。「人権博物館は、その課題に取り組む勇気を持っていれば、とても重要です」とも。

 水曜日の講演で彼女は、先住民教育における彼女の活動について語るとのことである。元々は教師になろうと考えていた彼女は、1969年以来、自分が運営する基金the Nihewan Foundation for Native American Education)と通じて、先住民への教育や先住民族とその文化についての教育の向上に努めてきた。

 彼女の講演は、ここでライヴ中継される。

2014年9月の開館について:

 その他の関連サイト:
What does Buffy Sainte-Marie believe?

What's next on Buffy Sainte-Marie's bucket list

出典:Buffy Sainte-Marie calls for adults only exhibit on residential schools at Canadian Museum for Human Rights


 イントロ部分でアイヌ民族のサケ漁に関する動きについて書きかけたのだが、またにしよう。

*1:セオドア ロゥズヴェルト大統領といえば、「アイヌ民族衣装を着たテディベア」でも取り上げたことがある。

*2:開館の日の様子:Canadian Museum for Human Rights opening marked by music, speeches and protests