AINU POLICY WATCH

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上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

「土人」(w/ P.S. 8つ)

「どこつかんどんじゃ。土人が」 機動隊員が沖縄で暴言 芥川賞作家に
沖縄タイムス+プラス ニュース 2016年10月19日 06:44


 沖縄県東村高江周辺の米軍北部訓練場内のヘリパッド建設で18日、N1地区ゲート前で抗議していた芥川賞作家の目取真俊さんに対し、機動隊員が「触るな。土人(どじん)」と発言したことが分かった。目取真さんは「あまりにもひどい。市民をばかにしている」と憤った。

 同日午前9時45分ごろ、目取真さんら市民数人がN1ゲートそばで、沖縄防衛局が市民の出入りを防ぐため設置したフェンス越しに工事用トラックの台数を確認していた。その際、機動隊員3人がフェンスから離れるよう指示した際、1人が「触るなくそ。どこつかんどんじゃボケ。土人が」と発言した。市民側は発言者を大阪府警の機動隊員とみている。機動隊員の発言について、県警は本紙の取材に「現時点で把握していない」としている。

 午前11時半ごろには、工事用トラックの進入を防ごうとした目取真さんを、機動隊員4人が地面に押さえ付ける場面もあった。

 同日は市民70人がN1ゲート前で抗議活動を展開。工事用トラック36台が同ゲートから訓練場に入り、資材を搬入した。市民5人が北部訓練場内に入り、工事の進捗(しんちょく)を確認した。

 17日に器物損壊容疑で現行犯逮捕された沖縄平和運動センターの山城博治議長の釈放を求め、市民らは名護署前で集会を開いた。

 記事のリンク先にに写真と音声録音あり。

【記者の視点】「土人」発言 歴史に刻まれる暴言 警察は県民に謝罪を
沖縄タイムス+プラス ニュース 2016年10月19日 07:10


 警察官による「土人」発言は歴史的暴言である。警察は発言者を特定、処分し、その結果を発表しなければならない。ビデオがインターネットで公開されている。すぐにできるだろう。

 市民らは発言者が大阪府警の機動隊員だとしている。事実なら府警本部長が沖縄に来て、受け入れた沖縄県警本部長と並んで県民に謝罪する必要がある。

 逆に警察がきちんと対処しない場合、それはこの暴言を組織として容認することを示す。若い機動隊員を現場に投入する前に、「相手は土人だ。何を言っても、やっても構わない」と指導しているのだろうか。

 この暴言が歴史的だと言う時には二つの意味がある。まず琉球処分以来、本土の人間に脈々と受け継がれる沖縄差別が露呈した。

 そしてもう一つ、この暴言は歴史の節目として長く記憶に刻まれるだろう。琉球処分時の軍隊、警察とほぼ同じ全国500人の機動隊を投入した事実を象徴するものとして。

 ヘリパッドを完成させ、米軍に差し出すことはできるかもしれない。政府は引き換えに、県民の深い絶望に直面するだろう。取り返しはつくのだろうか。(北部報道部・阿部岳)

沖縄県警が「土人」発言認める 「シナ人」発言は確認急ぐ
沖縄タイムス 10月19日(水)12時30分配信


 米軍ヘリパッド建設工事で東村高江周辺を警備する機動隊員が、建設に反対する市民に向かって「触るな。土人」などと発言していた問題で、沖縄県警は19日午前、事実関係を認めた。県警の調べで、大阪府警の20代の男性機動隊員が発言を認めたという。県警は差別的用語で不適切な発言だったと説明し「今回の発言は極めて遺憾。以後そのようなことがないようあらためて指導する」とコメントした

 また、高江警備で別の機動隊員が、反対市民に対して「シナ人」と発言している動画が配信されているとして、県警警備2課が事実確認を急いでいる。

 時間がないので表示しないけれど、ブログ内検索に「土人」と入れると、これまでの記事に何度も登場します。

 トップ画面が同じ状態になっているから、前の投稿への「P.S.」が気づかれていないのかな?

P.S.(23:00):上の記事を投稿してから出かけたのだが、午後5時前後のラジオのNHKローカルニュースでこの問題を取り上げていた。だが、「差別発言」と言っただけで、具体的に何と言ったのかは述べられなかった。

 沖縄タイムス公式動画チャンネルから音声録音をお借りしておきます。
【音声】機動隊員が沖縄で「土人」発言 高江ヘリパッド建設現場 posted by 沖縄タイムス公式動画チャンネル

P.S. #2(10.19, 23:57):上に書いたブログ内検索では、ほとんどが「旧土人」というかたちで出て来る。少なくとも1997年に北海道旧土人保護法が廃止されるまで、この国の政府や自民党議員たちが「土人」や「旧土人」に差別性はないと主張していたことが思い出される。
 問題の機動隊員は、いま何歳なのだろうか。ひょっとしたら、小学校かどこかで、その頃の支配的社会流の「釈明」を聞いて「学習」しながら育ったのかもしれないな。どのように解決されるのか、注目しよう。

 まだ表に出ていないようだが――アイヌ沖縄タイムスのようなメディアをもっていたら事態は異なるのだろうが――、北の方でも「旧土人保護」を巡って問題が燻っている。1年ほど前の投稿、「『開拓』のイデオロギー」の末尾に、アイヌ政策有識者懇談会の『報告書』における「土人」の説明について、このような記述がある。

(注3)(4)の「近代」の節の直前の段落で登場する「土人」の説明(「当時『その土地の人、土着の人』という意味を有していた」)も、「差別」という批判を避けるためか、妙に弁解的である。当時の日本人は、その説明の意味で自らを「土人」と称していたであろうか。

 今になって思えば、『報告書』のその記載にはこういうやり取りも影響していたのかもしれない。

実は昨日の晩も「大日本外交文書」で樺太千島交換条約をチェックしていましたが、やはり土人、ネイティブという意味で使っているのでしょうけれども、これはロシア側も日本側も国民という場合は既に自国籍を持った人のことを指し、土人の場合はあまりはっきりと所属を明確にしていない。ただし、この1875年では千島全土が日本領、樺太全土はロシア領となっています。アイヌの人から見たら、自分達が前から住んでいた土地でしょうけれども、条約発効後3年以内に土人についても、その帰属をはっきりさせる規定になっている。ですから、いわゆる強制移住の問題は、その後、日本の国内措置としてなされたものであって条約上特に問題はない、その点を確認したくて、外交文書をもう一度チェックしていました。


「強制移住と土地・資源(16)」

P.S. #3(10.20, 2:30):この解説の太字で青字にした部分も、なんだか変だな。これから次々に迷解説が現れるだろう。

 沖縄県警によると、府警の機動隊員は2016年10月18日、東村の高江にあるN1地区(通称・Fルート)付近で抗議活動中の人々に「土人」と暴言を吐いた。「土人」は元来、土着の先住民を指す言葉ながら、現在はもっぱら未開で野蛮な人間を示す差別用語として使われる。

「どこつかんどんじゃコラ、ボケェ」に「おい、ヤクザ」の応酬 大阪機動隊員の沖縄「土人」発言のガラの悪さ J-CASTニュース 10月19日(水)18時28分配信

 機動隊員は、20代だそうだ。

P.S. #4(10.20, 3:25):琉球新報の記事。

 辞書によると「土人」という言葉は本来、土着の人という意味だが、近代以降、未開の地域住民を侮蔑(ぶべつ)する用語として定着している。


市民を「土人」呼ばわり 機動隊員、沖縄のヘリパッド建設現場 識者ら差別発言と批判 琉球新報 10月19日(水)6時30分配信

P.S. #5(10.20, 15:13):

「土人」発言は何が問題なのか 100年前、沖縄女性らが見せ物にされた「人類館事件」 沖縄タイムス+プラス ニュース 2016年10月20日 14:48


 大阪府警の機動隊員による「土人」発言が批判にさらされている。本土側の沖縄蔑視、差別はこれまでもたびたび繰り返されてきた。1903年には大阪で開かれた博覧会で、沖縄女性2人を「展示」した「人類館事件」があり、沖縄戦では日本兵による住民虐殺や「集団自決」(強制集団死)があった。戦後71年たった現在でも、在日米軍専用施設面積の約74%が集中する。識者は「差別する側の意識が変わらないと問題は解決しない」と指摘している。

 1903年、大阪で開かれた第5回内国勧業博覧会の会場で「7種の土人」として、朝鮮人や台湾先住民、沖縄県民らが見せ物として「展示」される「人類館事件」が起きた。当時の沖縄では「沖縄人差別」として激しい非難と抗議が起きた。

 事件から100年後の2003年に大阪で、事件をテーマにした戯曲「人類館」の公演を手掛けた、関西沖縄文庫主宰の金城馨さん=大阪府=(63)は「土人発言」について「特別な驚きはない。普段沖縄に対して思っていることが、表面化しただけ」と切り捨てた。「大阪府警では日常的に沖縄に対する差別があるのではないか。府警の責任を追及すべきだ」と語気を強めた。

 金城さんは1879年の琉球処分以降「歴史的に差別が続いている状態」とした上で「これから沖縄は本土と対等に向き合い、差別する側の意識を変えることが問題解決につながる」と話した。

 差別の問題に取り組む師岡康子弁護士は「土人」「シナ人」の二つの発言について公的機関が「人種差別を助長しまたは扇動すること」を禁じた人種差別撤廃条約に違反すると指摘。「弁明の余地はない。大阪府警は謝罪し、教育体制を洗い直す必要がある」と求める。

 「シナ人」の表現は「レイシスト(差別主義者)が基地に反対するのは中国に操られた売国奴、と言うのと全く同じ発想。基地に反対する沖縄の人々と中国の人々に対する二重の差別だ」と非難した。

 「土人」は新聞社が使う「記者ハンドブック」(共同通信社発行)でも差別語、不快用語とされており、記事にする場合は通常「先住民(族)」や「現地人」と表記することになっている。

P.S. #6(10.22):

<米軍ヘリパッド>不適切発言と工事の関係は否定 稲田防衛相
沖縄タイムス 10月21日(金)11時0分配信


 【東京】米軍北部訓練場ヘリパッド建設工事の警備に当たるため、大阪府警から派遣された機動隊員が不適切な発言をしたことについて、稲田朋美防衛相は21日の会見で「大変不適切かつ残念な発言」としつつ、工事との関係は否定し「負担軽減」のため着実に進める考えを改めて示した。

「土人」発言、鶴保沖縄相「間違いと言う立場にない」
朝日新聞デジタル 2016年10月21日12時41分


鶴保庸介・沖縄北方相

 (沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設現場で、抗議活動中の市民に機動隊員が「ぼけ、土人が」と叫んだことについて)これを人権問題だと捉えるのは、言われた側の感情にやはり主軸を置くべきなんだと思います。従いまして、県民の感情を傷つけたという事実があるならば、これはしっかり襟を正していかないといけないと考えています。

 ことさらに、我々が「これが人権問題だ」というふうに考えるのではなくて、これが果たして県民感情を損ねているかどうかについて、しっかり虚心坦懐(きょしんたんかい)に、つぶさに見ていかないといけないのではないか。我々が考えねばならないのは、発言をされた対象者の気分を害していますよ、と肩をたたいて言ってあげることが一番必要なのではないか。

 (「県民感情が損ねられているかどうかについて、まだ判断できないのか」との質問に)私は今のこのタイミングで、「これは間違っていますよ」とか言う立場にもありませんし。また、正しいですよということでもありません。自由にどうぞというわけにもいきません。従って今のご質問で、私が答えられるとするならば、これはつぶさに見ていかざるを得ない。(閣議後の記者会見で)

P.S. #7(10.22, 14:20):

百田尚樹さん、平野啓一郎さんらSNSに投稿 「土人」発言
沖縄タイムス 10月22日(土)5時0分配信


 大阪府警機動隊員の「土人」「シナ人」発言や、大阪府松井一郎知事が「出張ご苦労様」と機動隊員を擁護した内容などに対し、著名人らがSNSなどで批判している。

 脳科学者の茂木健一郎さんは「土人」発言について「完全にアウト、だけど、この隊員さんにそのように言わせた『構造』はより問題だと私は感じます」とし、松井知事の投稿については「知事として言うべきことは、そこではない気がする」と指摘した。

 またニュースなどで「『土着の人を意味する不適切な発言』と言い換えられていることに、果たして妥当なのかどうか。いずれにせよ、日本のメディアは、このようなニュースに対する反応がにぶすぎるように感じます」と投稿している。

 芥川賞作家の平野啓一郎さんは「今回の『土人』は、やるせないほど絶望的に間違っている。そして、大阪府知事の沖縄に対する根深い差別意識」と指摘。

 “尾木ママ”こと、教育評論家の尾木直樹さんはブログで発言に対し「失言甚だしいと思います…」とし、松井知事に対し「沖縄の住民へのおわびと機動隊員への戒めのがまったくないのはいかがなものでしょうか!?  違和感大きく気になります。差別は許されません」と書き込んでいる。

 一方、作家の百田尚樹さんは「反対派の連中もひどい言葉を吐いている。マスコミはそっちをまったく問題にしないのはなぜか」などと投稿している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161021-00067667-okinawat-oki&p=1何が「土人」発言を生み、誰が許しているのか 人権問題に詳しい識者3人の視点
沖縄タイムス 10月21日(金)21時0分配信


■少数者をたたき楽しむ空気
安田浩一さん(ジャーナリスト)

 「土人」発言を「不適切」とする政治家や官僚に憤りを覚える。社会の中でどんな文脈で使われてきた言葉なのか。その歴史的背景を考えれば、明確な差別発言で、不適切かどうかの問題ではない。

 市民側の暴言を問題視する意見があるが、市民と公権力は対等ではない。人々を守るはずの警察が市民運動や社会運動を敵視し、排除の対象として監視する組織になっていることも大きな問題だ。

 ヘイトスピーチ対策法は国や自治体に差別解消のための啓発や教育を求めている。

 松井大阪府知事による差別発言の擁護は法の理念を無視するばかりか、差別や偏見の助長につながる。首長として許されない。

 社会的少数者や弱者をたたき、引きずり降ろすのを楽しむ空気が日本社会の一部に流れている。社会を分断し壊そうとする勢力がいて、呼応する人々がいる。国や政治家は「差別は絶対許さない」と明確な言葉を発するべきだ。


■自治体の長なら非難すべきだ
前田朗さん(東京造形大教授)

 「シナ人」「土人」の発言は、単に不適切な発言にとどまるものではない。市民に対する侮辱罪にあたる可能性もある。さらに「シナ人」という言葉を差別と侮辱の意味で用いている。

 沖縄の人々だけでなく、中国人に対する侮辱としても忘れてはいけず、政治問題化しうる発言だ。基地問題など差別的な構図の中で、多くの県民が抗議の意思表示をしていることは政府も警察も知っているはずだ。その差別的な状況に乗っかり、今回の発言が出てきた。

 人種差別撤廃条約では、政府や要職にある人は、差別と受け止められる言葉を非難すべき立場にある。だが松井大阪府知事は発言した機動隊員をかばい、ねぎらった。差別を助長し扇動することにつながり、自治体の長として差別をなくすための教育をしていないと疑われても仕方ない。


■親玉はあんたたちちゃうん?
谷口真由美さん(全日本おばちゃん党代表代行)

 沖縄県外に住んでいる人間は、自分が「土人」という言葉を発したと思わなければいけない。基地が集中しているのはしゃあないと言い、沖縄を低く見る感性が「土人」という言葉を生んだ。私自身も、人権教育をしている大阪府民として加害者性を感じている。想像力の圧倒的な欠如。安全、安心に生きたいのはあなたも沖縄の人も同じだ、ということを伝えていくしかないのかもしれない。

 8月に高江に行き、機動隊員が上司にお尻を蹴られているのを見た。彼らもしんどいのだろう。今回の発言は許せないが、誰が彼らを高江に向かわせたのか見誤ってはいけないと思う。

 菅義偉官房長官が「許すまじきこと」などと第三者のようなことを言っている。親玉はあんたたちちゃうん?  と言いたい。松井一郎府知事は「一生懸命職務を遂行していた」と言う。仕事に疑問を持たせず、思考させず、突っ込ませるのが良い指揮官ということか。

 今回の出来事は現代日本の意識レベルの象徴だ。幾重にも差別の構造があってどこから論点を出せばいいか迷うが、ここで傍観者になったら末代までの恥だと思っている。

P.S. #8(10.26):

沖縄・自民の県議「反対派も暴言」 警察と市民を同列で比較 沖縄タイムス 10月26日(水)5時30分配信


(略)
■同列視できない
 【解説】東村高江のヘリパッド建設現場での「土人」「シナ人」発言を巡り、県議会の自民党議員の一部から抗議する市民側の発言を問題視し、抗議行動の在り方の確認まで求める声が上がった。圧倒的な権力を持つ警察と、力を持たない市民との関係性を無視し「どちらにも非がある」とみせかける、市民弾圧ともいえる。

 県議は総務企画委員会で、市民側にも「暴言」があり、機動隊の差別発言を誘引したとの認識を示した。

 混乱する高江の現場で、市民側が荒い言葉で機動隊に抗議する姿があるのは事実だ。だが、逮捕権など圧倒的な公権力を持つ警察側と、非暴力で声を上げる市民の抗議を同列視するのは、とても平等ではない。

 大阪の松井一郎知事の機動隊擁護発言も問題は底通する。声を上げる弱者を徹底的にたたき、権力側を正当化する、という姿勢だ。

 翁長雄志知事は名護市辺野古の新基地建設や高江ヘリパッドでみせる政府の強行的な手法に、「沖縄以外の都道府県で同じことができるのか」と疑問を投げ掛ける。日本の南の島に迷惑施設を集中させ、上がる反発の声を力で抑える。これが今、沖縄で起きている現状だ。 警察の差別発言を“好機”とし、抗議する市民の権利まで抑制することは許されない。