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AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

北海道旧土人保護法の位置づけ

アイヌ政策有識者懇談会 政策推進作業部会

「政府の09年アイヌ政策有識者懇報告書 旧保護法位置づけ見直しを」
北海道新聞 11月7日


 北大名誉教授の井上勝生さん(71)=札幌市、専門は日本近世史=が、2009年に政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」がまとめた報告書の中の北海道旧土人保護法(1899年公布、2007年廃止)の位置づけを、一部見直すべきだと主張している。研究が立ち遅れていた旧土人保護法制定前夜のアイヌ民族の様子が、最近の研究で分かってきたからで、それを反映すべきだという。(椎名宏智)


<北大名誉教授・井上勝生さん>
共有財産管理対策「不要な地域も」


 報告書は、旧土人保護法について「アイヌの人々の生活状況等をめぐる諸問題について一通りの対策を示した」とし、その主な内容に「(北海道庁長官による)共有財産の管理」を挙げた。だが井上さんは「アイヌ民族自身が当時、共有財産を緻密に管理していた証拠が見つかり始めた。少なくとも十勝川下流域では、共有財産はアイヌの人たちが適切に管理しており、北海道庁長官が管理する法律は必要なかった」と話す。


 10月15日、京都大学人文科学研究所で開かれた国際シンポジウム「日清戦争期の東アジア」で井上さんは「アイヌ民族近代史を問い直す」と題し講演した。この中で、井上さんが繰り返し訴えたのがこの問題だった。井上さんが根拠の一つとして示したのが、十勝管内幕別町に残っている「吉田菊太郎資料」の中の「財産保管組合規約」=表(概要)=だ。


 これは十勝川下流域(札内川合流点より東側)のアイヌ民族が1894年(明治27年)、漁場などの共有財産を管理する組合を設立した時の組合規約。これを読むと、組合保管の財産は、現金ならば銀行に預け、土地や建物は賃貸し、得られた利益は配当する仕組みを整えている。また、こうした事務手続きや利子の取り立てをするため和人を雇い、賃金まで細かく定めている。


 井上さんは「第3条に財産台帳をいつでも閲覧できるとあるが、これが先進的。第12条は、組合加入のアイヌ民族に対して課される税金は組合が支払うと定めており、相互扶助の精神もある」と指摘する。


 その上で井上さんは、ここ数年で分かってきたこのような知見を踏まえると、「有識者懇談会の報告書は、旧土人保護法について、『一通りの対策を示した』と総括したが、共有財産の管理については不要な地域も存在しており、必ずしもそうは言えない。見直しが必要ではないか」という。


 1984年、北海道ウタリ協会(現在の北海道アイヌ協会)は、旧土人保護法について、「屈辱的なアイヌ民族差別法である」と総括した「アイヌ民族に関する法律(案)」を総会で可決した。井上さんはこれを支持し、シンポジウムでは「旧土人保護法はアイヌ民族の困窮対策にはならなかった。この法律がアイヌ民族を保護した観点はない」と述べた。


 この国際シンポジウムは京大人文科学研究所の高木博志教授が司会を務め、約40人が聴講した。


 財産保管組合規約(概要)[省略:冒頭のリンク先へ]

P.S.(11.09, 1:30):★第28回政策推進作業部会
 ちょっと確認したいことがあってアイヌ総合政策室のサイトを訪れると、第28回政策推進作業部会が11月7日に開催されたようで、下記の「議事次第」が公開されていた。

平成28年11月7日(月) 13:30~14:25
中央合同庁舎第4号館1214特別会議室
1. 開 会
2. 議 事
(1)地域におけるアイヌ文化復興の取組事例について
(2)アイヌ遺骨について
(3)その他
3. 閉 会

 ところが、10月6日に開催された前回の作業部会の「議事概要」が未だ公開されていない!!