AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

2度も3度も美味しい国立アイヌ民族博物館のレストラン(w/ P.S. 6つ)

 先日、「理事長の動向」――特製ランチ「大地の味」を試食しましたの投稿から「理事長の動向」サイトの写真を見てきた方が、卓上に並べられた何枚かの名刺に注目して、商談も含まれたビジネスランチだったようですねというコメントを戴いていた。私は、レストランの人たちとの儀礼的な名刺交換だったのだろうとくらいにしか考えていなかったのだが、真相はもちろん分からない*1。そうお断りした上で、昨晩、The New York Times紙の興味深い記事を読んで、ふと思いついた。

 予定されている国立アイヌ民族博物館には当然、レストラン/食堂が付設されることであろう。そもそも、現在のアイヌ政策の推進方針が「先住民族の利益実現」のための「利益の一致」論を基礎コンセプトとしており*2、それを中身とする「共生」の施設であるから、「大地の味」を考案したレストランに限らず、どこかのホテルチェーンの会社や経営者あたりは、その辺の2度も3度もおいしい利益/利権を狙っていることであろう。

 さて、同博物館に付設されるであろうレストランでは、当然、アイヌ料理が提供されるのでしょうね。それも、料理長から見習いのシェフまでみんながアイヌ、そしてもちろん経営もアイヌが行う――というところまで実現しそうかな? 官房長官の鶴の一声で目標入館者数が100万にされた後、政策推進作業部会で卒業生の供給と関連して不安の念を吐露する発言をしていた某大学の先生のところには、そのような人材を育てるプログラムはおありだろうか?

 博物館構想のモデルにしていそうなアメリカインディアン国立博物館には非常に人気の高い、先住アメリカ人料理を提供するレストランがある。そこの料理長の話題をNYT紙が取り上げている。ついでに、この関連記事と合わせて、何千万円も研究費が注ぎ込まれている流し台のタンクの先生方も当然目にしたり、読んだりしているでしょうから、翻訳してもらうとよいでしょう。

P.S.(11.28, 23:00):P.S.の追加で、米国大統領選、DAPL、アイヌ政策(それもいろいろ)がゴチャゴチャになってきた感じだ。

 「スタンディング ロックでのマオリのハカ/スピリット ケイヴ マン続報」のP.S. #3は「Dear Americans,」のP.S. #5の続きなのであるが、ジル スタイン氏と緑の党の先週金曜日の発表によれば、トランプ氏がクリントン氏を僅差で破った3つの主要州(ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルヴェニア)で再集計を求めるために必要な資金集めで、3日間で400万ドルが集まったというのだから凄い。

 昨夜、疲れていて、DAPL関連で2つの報道を取り上げるのを断念した。1つは、Officials to Close Standing Rock Protest Campsite By CHRISTOPHER MELE, NOV. 26, 2016で、米国陸軍工兵司令部が、金曜日付でスタンディング ロック スー トライブのディブ アーシャムボールト2世氏に送った書簡で、抗議参加者と警官隊との「暴力的衝突から一般公衆を保護する」ための決定として、キャンプ地へのアクセスを封じる計画を伝えた。アーシャムボールト氏は声明で、その決定に対する深い失望を伝え、次のように述べた。

 この国が感謝祭――先住アメリカ人とヨーロッパからの最初の移民たちとの間の歴史的交流――を祝う翌日にこの発表が届くということは、残念でありかつ失礼です。
 報せは悲しいものですが、わたしたちの民の過去500年間の虐待を考えれば、それほど驚くことではありません。

 「感謝祭」については過去に書いているので、関心のある方は、こちらのブログ内検索に「Thanksgiving」と入力して下さい。このブログにも1つ、ここで言及しています。

 昨夜のもう1つのニュースは、カナダのCBC NewsのTrump's stock in contentious Dakota Access pipeline company raises concernという記事で、トランプ氏がDAPLを建設中の会社(テキサス州に本社があるEnergy Transfer Partners社)の株(15,000ドル~50,000ドル=1年前の50万ドル~100万ドルから減少)を所有しており、そのことがDAPL建設計画に関して彼が行う決定に影響を及ぼすのではないかという懸念を招いているというもの。トランプ氏はさらに、Dakota Accessの4分の1の株を有するPhillips 66社に10万ドル~25万ドルの株を保有している。

 8月以来の逮捕者は、528人に上っているとのことである。

 一旦休止。

P.S. #2:注に入れると気づかれないかもしれないので、ここに追記しておく。前からの読者はご存知かと思うが、新しい読者には「流し台の(下の)タンク」が何に言及しているのか分からないという人もいるかもしれない。think tankシンクタンク⇒流し台のタンクである。Cf. 「金集めと配分の権力」

P.S. #3:本文の、100万人の入館者数目標に関して、注に入れようとしたのだが、少々長すぎるようなので、ここで補足する。まず、本文で言及している発言は、これである。

 目標来場者数100万人の件は、私は大賛成。50万人に比べて、受け入れ態勢を2倍充実させなければいけないのだから、アイヌの若者たちが活躍できる場が倍増することに繋がり、大いに期待している。もちろん、その点を認識した上での目標値設定だということを、国の方にはしっかり自覚していただきたいと思う。
 もう一つ、それだけの人材をどうやって確保するのかという問題がある。資料のスケジュールを見ると、2017年の途中から人材の採用・育成となっている。しかし現実的には、アイヌの優秀な若者たち、100万人を担えるだけの人材をこの段階ですぐに集められるかというと私は大変疑問に思っている。現実に今、白老の担い手育成でがんばっている方々、それから私どもの学生でも、アイヌ文化伝承を担っていきたいという強い意欲を持つ優秀な4年生たちが、来年の春からどうやって生きていけばいいのか悩んでいる。一般企業で就職活動をするしかないという状況にある。100万人を担える人材は今すぐにでも養成していかないといけないと思う。そうでないと絶対支えられない組織だと思うので、このスケジュールが特に人材の育成に関わって、本当に適正なのかということはもう一度ちゃんと御検討いただきたいと思う。そうでないと、いざオープンしたときに、パンクするようなことが起こるような気がして、私は非常に不安に思っている。


第25回「政策推進作業部会」議事概要、12ページ。

 なお、この回には、「100万人」について、誰からかは分からないが、このような興味深い発言も出ている。

 この報告案では、年間100万人を超える人々を対象にという文言が4か所あるが、これは確かに官房長官が昨年御発言し、そのためいかに目標を達するかということで様々な考え方を示しているのはわかるのだが、本当に100万人呼ばなければいけないのかという基本的な問題がある。観光アイヌを国が認めるのかということか。100万人、これはほとんど観光客なのだと思うが、そうではなくて、この象徴空間はアイヌ文化の復興、民族の共生と同時に、アイヌの人々の心の故郷となるような空間という考え方があったはず。それが100万人で少しぼけてしまって、おそらく人を集めることしかこの施設は考えないのではないかという内容になってきていると私は思う。(10ページ)

 国立のアイヌ文化博物館(仮称)基本計画が昨年7月30日に公表され、そして第23回作業部会において文化庁から報告があり、その時にそのような議論がなかったと私は承知している。100万人の受け入れについて、昨年10月1日のアイヌ政策推進会議において発議したのは官房長官かもしれないが、参加の皆様方が少なくとも議事録を見る限り、そのことは可能かという議論はなかったと私は承知している。100万が良い悪いの問題ではなく、この会議はひとつひとつの物事を踏まえて前に進めているはずなので、今議論されていることが非常に重要であることは十分理解できるが、一方で非常に困惑を感じている。(12ページ)

P.S. #4:「社会の現実」の一端です⇒「麻生氏、会員制バー通い1670万円 黒ずくめで店へ」

P.S. #5:目標値は高い方が良かろう。いっそのこと、200万人にしたらどうだ。高すぎる山はない。官房長官、もう一声!

 こんな冗談と並べるには申し訳ないけれど、素晴らしいパフォーマンスです。

☆高すぎる山はない!
"16. Joss Stone - Ain't No Mountain High Enough - Live At The Roundhouse 2016 (PRO-SHOT HD 720p)" posted by Portal Joss Stone.

☆ピープル、ゲット レディ(これもジョス ストーンで。)
"Joss Stone performs People Get Ready" posted by stvdiochannel.

 The Impressionsのオリジナルはこちら、歌の解説はこちら。ジェフ ベックとロッド スチュワート版は、こちら

*1:P.S. #6(12.03):写真をパソコンで拡大すると、向かって左の2枚は毎日新聞と道新の記者の名刺であることがわかる。右の4枚はデザインが同じだから、恐らくホテルの人たちのものであろう。

*2:Cf. 「アイヌ政策過程におけるマスメディア(新聞)④」で言及した北海道新聞釧路・根室版の2009年4月14日付夕刊記事。