AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

第27回・第28回政策推進作業部会議事概要(w/ P.S. 4つ)

 第27回45分間、全4ページ)と第28回(65分間、全6ページ、最後はブランクページ)の政策推進蜜の4乗作業部会の議事概要が同時に公開されたようである。

 今夜は他のことを調べているので読む時間がない。第27回分を開いた時に、3ページの「博物館法というのがあるかと思うが、博物館が保有する遺骨等はこの法に基づきどういった位置づけになるのか」という問いに「次回の作業部会で報告したい」というやり取りが目に入った。以前、博物館をつくる際の立法で遺骨・副葬品の返還をどう取り扱うのかということを書いた(はずである)ので興味を引かれ、第28回分で「博物館法」を検索したが無かった。そこで「博物館」を検索すると7件挙がってきたが、どれも上の質問への答えではなかった。別の文脈で出ているのかもしれないが、今夜は、上述の通り、読む気も時間もない。

P.S.:第27回分だけ読んだ。毎回書くような気がするが、こうしてたったこれだけの「報告」を受けるだけの会議に東京まで出かけて行くことにゴクロウサマというか、お気の毒というか・・・。大半がアイヌ遺骨の取り扱いをめぐっての話であるが、来年度の予算要求額も出ている。そして、加藤理事長のなかなか面白くて変な発言もあるが、もう誰も「集約」そのものを問い直す人はいないようだ。地域返還に関してやたらとコンセンサスが強調されているが、では、「慰霊施設」への「集約」に関してアイヌ民族の間でコンセンサスができているのか!? アイヌ民族でこの問題に関する「アイヌ民族投票」をやろうというような人が誰か出てこないものだろうか。そのような投票の意義については、前に一度言及した。
 教科書の内容についての発言もあるが、どういう記述が増えるかが問題だ。

 加藤理事長の発言の一部:

知っていただきたいのは、北大の納骨堂を誰かがなんと言っているかといえば、それは倉庫でないかと。他の人から見ればそう言われている。北大を例にとると言いながらあれは倉庫でないか、こう言われていることをきちっとまず認識しておいてもらいたい。アイヌは死者を送るのに、家も持たせてやる、愛用していたもの全てを持たせてやる、あの世へ行っても不便のなきようにという、そういう精神のもとで持たせてやるということからまず始めてもらいたいことを皆さんの念頭に置いといてもらいたい。それを盗掘されたのだから。それは日本国内では研究者なども、盗掘という言葉は一度もどこにも出てこないが、外国ではそれがきちっと盗掘と記述が残っている、暗闇の中からそれを持っていったという記録も残っているということなので、死者を送ることの大切さをもうちょっと噛みしめて。まさに涙を流して眠っておるなあと私は思っている。箱が大きいとか小さいとかの問題ではなく、鳩山元総理の当時は、私は金の箱にいれなきゃ困るんだと言っていた。少なくとも中は金箔にしてもらいたいくらいのことを思っているし、表はそれなりのものにきちんとしてもらいたい。下駄箱じゃ困るんだということを今言っている。遺骨はばらばらにされたのだから、きちっと供えてやることもこの慰霊のひとつだと私は思っている。官房長官が今までの先入観と固定観念を捨ててアイヌに寄り添ってやれと言っているんだから、だったらその通りにやってもらうことを私は望みたい。血の通った、先祖の喜ぶ形を作ってもらいたい。あわせて四肢骨について、ばらばらになったものをどうするのかはなにも協議されていない。それが先ではないかと思う。
(3-4ページ)

 「涙を流して眠って」いても、また「集約」されるのだ。次の発言を比較参照されたい。

北大の納骨堂という「牢屋に閉じ込められて30数余年。今度は白老へ移され研究材料として恥ずかしめをうけるのではないかと、毎日まいにちびくびくしているであろう先人達」の故郷への帰還の叫びが聞こえて来ると訴えられました。新冠アネサルより強制移住で旭(旧上貫別)へ来た者たちが、今度は白老の慰霊施設へと[い]うことになると「三度目の強制移住になる。絶対に阻止したい」「尊厳ある慰霊施設というが、逆である。尊厳を踏みにじる施設だと私は思う」と。
(原文はここ。原文の強調は省略した。)

P.S. #2:結局、第28回分も読んだ。バカだね。そして、読まなければ良かったと思う。最後に、寝つきが悪くなるだけでなく、悪夢を見そうな発言が出て来た。

 最初はアイヌ文化に関する平取町の取り組みの報告だが、省く。「博物館等におけるアイヌの人々の遺骨及びその副葬品の保管状況等に関する調査結果」は、公開すると何かまずいみたいだ(3ページ)。そして、加藤理事長の世界考古学会での講演内容と森林認証について、北海道アイヌ協会から説明が行われている(3-4ページ)。

まずは「北海道の開拓政策によってアイヌ民族への急激な同化政策や人種差別、アイヌ民族の居住域を「無主の地」とし土地や資源、文化などが国内外の法的枠組みによって制限を受けた150年があった」と発言しているが、これは明治の新しい近代国家になってからの150年ということではなく、150年の中にどういう背景があって、今、私たちが生きているちょっと前までにどのような形で変わっていったのかという変遷について述べたもの。

もう脳が眠っているのか、下線を引いた部分の意味が理解できない。「先住民政策」とか、他にも「先住民」が複数回出て来るのが気になるが、結局、「発掘された時の姿に戻すことが、あるべき慰霊の姿だ。」北海道新聞が報じた発言については一言も出ていない。いずれにしても、北海道アイヌ協会には、2つ前に書いたように、この講演の全文を公表して欲しいものである。

 森林認証に関して、林野庁長官への要望書の経緯が述べられている。

今年5月開催のアイヌ政策推進会議において、各委員間の議論の中で、森林認証というのは先住民族の認知と土地資源、特に森林がどのような形で認識されているか、それを今後、持続可能な形でどのように関係者あるいは国民が取り組んでいかなければならないかは今後の政策の根幹に関わる非常に重要なことであり、オリンピックの公共施設に認証木材を使うに当たってはクリアしなければならないことという認識を共有した。そのため「「国際森林認証制度」の国内森林への適性導入とその唱導について」という林野庁長官宛ての要望書の文案を作成したところ。(4ページ)

ここの下線部は、こんな形で「共有」されていたのか、もう一度、アイヌ政策推進会議の議事概要で再確認しないといけない。

 次期学習指導要領に関する部分も、省略する。

 そして笑ったことには、第27回で出た遺骨を納める箱の内側を金箔にするという話に、事務局が回答している!

内部を金箔にしてほしいという要望について。保管される可能性のある大学等が保管している御遺骨が辿られてきた歴史や現状を踏まえ、尊厳のある慰霊となるよう、ふさわしいつくり方にしたいと思っている。しかし、御希望をそのまま実現するのは予算や管理面上、困難な部分もあるのでその点は御理解をいただきたい。

 すると、加藤理事長が、こう返答している。(どちらも、6ページ。)

私は金の箱に入れたいというぐらいの思いだから、その思いを少しでもつないでくれる、人権を尊重する提案だと聞いていたので、このことについては私としては納得したいと思う。

こんなことは、会議の外で話せば良いことだろうに。もっと大事なことはいくらでもロビーで話されているのだろうに。

 最後に、これは加藤理事長の発言なのだろうか。あるいは、別の誰かか? 「11月5日の朝日新聞」って、ここで批判した記事のことだろう? 違うページに違う記事が載っていたのかな?

 11月5日朝日新聞朝刊を見て感激した。立法措置を進めてもらうのをずっと願ってきたことを認識してもらいたい。法律のことは150年間願ってきた。記事では非常にいいことを言ってもらっている
(略)
 来年は北海道命名150年であり、このことはきちっとアイヌも一緒にやろうと皆さんが言ってくれている。踊りを入れて、儀式も含めながら一緒にやろうと。その中で大変よかったのは、北海道は他の都府県とは違い、いろいろなところからたくさんの人が集まって来たのだからしがらみがないと皆さんは言う。しがらみがないのが北海道なんだと。そういう言葉が大きくクローズアップされている。その上で、この150年は開拓150年だけれども、その前に先住民族アイヌがいたのではないかと。それは日本の財産だということを言う人が出てきた。そのことを非常にありがたく感じた。
 朝日新聞で言ってくれている法律のこと、私たちが本当に願っていたことを言ってくれていることに本当に感謝しかない憲法13条で個人を尊重すると定めている。今まで何もしないことは国の責任に値するのだということを全国民にきちっと言っている。やはりこの法精神をきちっとした位置づけにしないといけない。アイヌは公的差別を受けていたと私は思っているので、立場は違うといえども、私は進めてもらいたいので国にはお願いしたい。このことで一日も早くという願いがこもっている。

 新聞も多彩な読み方があるものである。

P.S. #4(12.09):
f:id:Don_Xuixote:20161210004142p:plain
Source: here.

P.S. #3(12.08):昨夜書く時間がなかったことを少し補足しておく。

★第27回で、海外のアイヌ遺骨と毎日新聞による報道への言及がある。1カ月くらい前に、この件は北海道アイヌ協会に縁の深い海外のアイヌ研究者が取り組んでいることだと耳にした。
 それにしても、加藤理事長の発言のようだが、「海外にある遺骨のことも国と国との関係だと思う」という、前の会議での発言と同じことが言われている。国外からの遺骨返還を勝ち取った他国の先住民族の取り組みと比較して、どうしても当事者としての感覚が薄い、まるで他人事のようだという印象を受けてしまう。政府も、「今後も今回と同じように具体的な端緒情報があったものについては調査を進めていきたい」と、あくまでも受け身を強調しているが、それは同時に、怠惰を証してもいる。

 以下は、第28回分議事概要についてである。
平取町からの報告は前から予定されていたことだったのだろうか。タイミングは、まるで「平取対策」のような印象を受ける。

★世界考古学会議での報道され、このブログでも取り上げた発言の意を明らかにすることは、関係者には都合が悪いのだろう。

★加藤氏は、40mだかのモニュメントとか金箔しか頭にないのかと思われてしまっても仕方ないだろう。政府事務局は、博物館法のことを次回に答えると言いながら、答えていない。出席者の誰も、博物館法のことを聞きなおさなかったのか、皆、もう忘れていたのか、聞き返すなと釘を刺されたのか、回答はあったが、その部分は「議事概要」で公開されなかったのか。

★加藤氏は、前半で協会からの報告が行われた後、まるで「深い眠り」にでも陥っていたのではないか。北海道で一部のアイヌが怒っていたのと同じ頃に、彼は東京で「感激した」と述べていたのである。「後はアイヌ同士でやって下さい」と言いたい気分だが、朝日新聞の常本氏の発言への批判が出たために、この部分は「議事概要」に追加されたのではないかという疑いの意見もある。まあ、100人ほどの政府官僚がオブザーバーで出ていたというのだから、仮に改竄されたのであれば、どこかから真相が出てくるのではないか。当面、加藤氏自らの発言と受け止めておこう。(会議への往路または開会前に、朝日記事のことを褒めてねと言われていたかもしれないが。)

★加藤氏は、ここ3回ほど、会議の最中に80人とか100人の政府職員がオブザーバーとして出席しているとわざわざ言及している。これは、立場によっては威嚇的さえ感じる光景でもあるはずだが、協調路線を行っている加藤氏は、ただそれに感謝するだけである。国連の作業部会で先住民族が行ったように、アイヌのオブザーバーを増やせとか、アイヌのオブザーバーが作業部会に出席できるように旅費基金を作れとかいう発想は、アイヌ民族「代表」の特権を独占享受している人と団体にはなさそうである。

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