AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

笑止千万(アイヌ遺骨のDNA鑑定と今後の調査研究の在り方)(w/ P.S. X 15)

 今日(23日)は、世の中が3連休初日ということもあってだろうが、アクセスも少なかったし、このまま今年は終わろうと考えていたのだが、読者からのメールにせっつかれる感じで、他の読者への周知がてら少し書いておく。

 直前投稿の題名を後から変更したのは、「何事もなく」終わるのではなく、過去に日本政府が国連への報告などでも使っていた手口、すなわち年末ぎりぎりのクリスマス休暇を狙って出す手口を使って何かあるなと感じたからである。"Amazing Grace"のP.S.で言及した会議は、アイヌ遺骨・副葬品の調査研究に関する文部科学省の会議だったのではないかと考えていた。(☜P.S.:実際にそうだったのかどうかは分からない。)そこに先ほど読者から、下の北海道新聞の記事に続き、「これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル報告書(案)へのパブリックコメントを実施します」という今月19日付の北海道アイヌ協会の「新着情報」の報が届いた。

アイヌ民族の遺骨DNA鑑定 北大など保管515箱 文科省方針
12/23 07:00、12/23 16:47 更新

 全国の大学が研究目的で保管するアイヌ民族の遺骨のうち、一体として特定できない一部の遺骨515箱について、文部科学省有識者会議は22日、2017年度にDNA鑑定をする方針を固めた。ばらばらに保管されている可能性のある遺骨をできるだけ一体として特定し、20年度に胆振管内白老町に開設されるアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」の施設で慰霊する。

 515箱は北大(484箱)のほか、新潟大(17箱)、東大(6箱)、天理大(5箱)、大阪大(2箱)、東北大(1箱)の6大学にある。各大学の箱には、遺骨の数や部位などがさまざまな状態で保管されている。収集した場所は道内各地のほか、樺太や千島列島の墓地もあるという。

 DNA鑑定は各大学が行う。遺骨が小さすぎたり、時代が古い遺骨など鑑定が困難なものを除いて調べる。鑑定結果を基に、収集場所や時期を参考に、一体でも多く遺骨の一致を目指す。

 この記事を読んだ後、この件に関する問題点を海外の事例で確認する作業をした。今夜それを書くことはしないが、加藤理事長を筆頭に北海道アイヌ協会もこれを望み、かつ許可を与えているのであろう。鑑定も、一体化して返還するためではなく、集約施設に収めるためのようである。沈黙しているアイヌが声を上げない限り、そのまま進められることだろう。

 なぜ北海道アイヌ協会が「パブリックコメントを実施します」と言っているのか理解できない*1。同協会に向けて出すことはしない、意見があればここに書くと思いながらも、「意見提出様式」を開いて見た。笑止千万! 意見は、わずか1,000字が上限だと。しかも、来月18日まで。(上の新聞記事を含めずに、この記事で約800文字なのだ。)

P.S.
 ニュージーランド政府がマオリに謝罪をせざるを得ないと判断して独自に謝罪文案を出した時のマオリの反応が非常に興味深いもので、それを次の記事で紹介しようと思っていたのだが、次から次へとネタが出て来るから困ってしまう。しかし、そのマオリの対応とこの報告書案を比べた時に、まあ何と言おうか、コメントする気力さえ抜けてしまいそうにもなるのだ。私がアイヌであれば、まず第一に、先の「中間まとめ」とこの報告書案に至るまでの議論を公開せよと言いたくなるだろう。

 「はじめに」は、非常に短い。2つの目的が並べられている。「学史的背景を明らかにする」ことと「研究をめぐる諸問題を整理し、研究のあり方と今後の研究の取り組みについて・・・一定の方向性を見出す」ことである。どちらもアイヌ遺骨と副葬品に関する研究者の関心事が主である。そこに「アイヌ関係者」が引き込まれて意見を述べる場を提供されただけの構図ではないか。その「アイヌ関係者」とは、北海道アイヌ協会の「理事会で・・・組織を代表する者と認められた委員」ということであるが、「具体的な当事者組織」を北海道アイヌ協会だけと見なしているのは誰であって、その理由は何なのか。(理事長、副理事長、そして事務局長ではなく次長がこの個別の課題において組織を代表すると、北海道アイヌ協会の理事会が権能を与えたのかどうかは分からないが、それは同協会員の問題であるから、これ以上は書かない。)
 上述の議論の経過の公開の次に私が指摘しておきたいのは、日本人類学会と日本考古学協会の会員が何名いるか知らないが、「学協会」と一つの民族が「対等」なのか。あまりにも偉そうなと言うか、自惚れた観方ではないか*2。しかも北海道アイヌ協会から3人、「学協会」からは6人。常本氏はかつて、北海道新聞釧路・根室版(2009年4月14日付夕刊)で、「民主主義とはつまるところ多数決であるから、少数者の利益は多数者の利益と結びつかない限り、実現の可能性は薄い」と書いていた。もしそうであれば、この構成では、「学協会」とアイヌ協会の「利益の一致」を見ないときの結論は明らかではないか。そして、アイヌの「代表」は、「多数者の利益と結び」つけるように、自らの主張を抑えるということも考えられるではないか*3。両「学協会」は、なぜアイヌ民族のもっと広範な参加を求めない/なかったのか。先住民族の権利に関する国連宣言を尊重するのではなかったのか*4
 さて、これで何字だろう。1,000字くらいだろうか。☜注3と4を除いて、ここまでで1,145字とカウントされている! これを送ると、字数超過でボツなのだろうな。

はじめに
 本ラウンドテーブルは、これまでのアイヌの遺骨と副葬品に関連する研究を振り返り、その学史的背景を明らかにするとともに、研究をめぐる諸問題を整理し、研究のあり方と今後の研究の取り組みについて、関係する学協会の代表とアイヌ関係者が議論を通じて一定の方向性を見出す目的で、本件の具体的な当事者組織である北海道アイヌ協会、日本人類学会、日本考古学協会の3者の合議により組織したものである。
 本ラウンドテーブルにおける議論に参加するものは、上記、3団体の理事会でそれぞれの組織を代表する者と認められた委員によって構成され、会議についても3団体が共催する形で、対等な立場での議論の実施を目指して進めてきた。具体的な参加委員は、以下のとおりである。

*****
これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル参加者名簿

北海道アイヌ協会
加藤 忠 北海道アイヌ協会理事長
阿部一司 北海道アイヌ協会副理事長
佐藤幸雄 北海道アイヌ協会事務局次長

(日本人類学会)
石田 肇 日本人類学会理事
中務真人 日本人類学会理事
篠田謙一 国立科学博物館副館長( ~平成28 年10 月 )
近藤 修 日本人類学会理事( 平成28 年10 月~ )

日本考古学協会
佐藤宏之 日本考古学協会理事
大谷敏三 日本考古学協会理事( ~平成28 年3月 )
関根達人 日本考古学協会理事( 平成28 年4 月~ )
加藤博文 北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授

P.S. #2(12.25):いろいろと弁を弄しているが、課題の焦点と今この課題が検討されている意味がぼかされてしまっていて、いくつも課題が残されたままである。最大の問題として、7ページ12行目から15行目は削除するべし。また、「中間まとめ」の時も指摘したが、7ページ最終行から8ページ1行目も大いに問題ありである。他のことも含めて、またいつか。(残りは、御用何とかの人たちが御用を納めた後くらいに出すことにしよう。)⇒(P.S. #10(12.28):多分もう不要だろう。)

P.S. #3(12.26):この報告書案の関係でだろうか、MS社のbing検索からのアクセス先の記事がこのようになっている。もっとも、bingからのアクセスは全体の4%と少ないから、数にすれば大したことはない。

www.bing.com からよくアクセスされているページ

20% タスキギー梅毒実験/クリントン大統領の謝罪/グァテマラでの実験/ベルモント報告書/ニュールンベルグ綱領
20% イギリスの「人体組織法(2004年)」と遺体・遺骨の返還
10% 「自由と平和のための京大有志の会」の声明書(全文)
10% 「アイヌ遺骨等の集約・保管・返還の在り方について」(続)
10% 日本学術会議『報告 アイヌ政策のあり方と国民的理解』を読む(1)
10% 「ヒトの脳3000個、世界最大のコレクション ベルギー 」(AFPBB News
10% 戦没者遺骨のDNA鑑定
10% インディアン カジノの「成功例」:マシャンタケット ピークォット トライブ

P.S. #4(12.26):私の残りの反応は、出すとすれば、御用何とかの人たちが御用を納めた後くらいに出すことにしよう。結論を先に述べておくと、この報告書案は、「中間まとめ」以上に研究者の文書という色彩が濃くなっているという印象を受けた。私がアイヌなら、「この文書は、やり直して来い」と拒否するだろう。

P.S. #5(12.26):上のアクセス先の表示は初めて試みたことだが、ついでだから、Yahoo!Googleの検索からの訪問傾向もお知らせしておこう――読者には何の意味もないだろうとは思うが。(これらのほとんどの人は、ここの冒頭青字部分を読んでない方たちだろう。)

Yahoo!検索 からよくアクセスされているページ

25% /archive/category/アイヌ政策推進会議
6% 北海道旧土人保護法の位置づけ
6% 萱野茂さんの国会(参議院)内閣委員会での質問(全文)
6% <アイヌ遺骨>ドイツに17体 北海道協会が返還要請へ/返還に壁、独研究140年の歴史(毎日新聞)(w/ P.S.3つ)
6% 次は「民族共生の賭博空間」建設か
6% アイヌ政策過程におけるマスメディア(新聞)②(w/ P.S.)
6% インディアン カジノの「成功例」:マシャンタケット ピークォット トライブ
6% 「『血』の政治学」から「DNAの政治学」へ?
6% 「先住民族」が差別表現?
6% イェール大学、マチュピチュの遺骨と副葬品をペルーに返還
6% FSCとSFIの森林認証プログラム
6% 「聞こえるよ母さんの声が・・・~原爆の子・百合子~」
6% 選挙人の翻意を求めて450万人超の署名

 これが全体の6%。そして、次が全体の78%。その他のアクセス元は、それぞれ1%程度。

Google からよくアクセスされているページ

23% ブログトップ
6% 萱野茂さんの国会(参議院)内閣委員会での質問(全文)
3% アイヌ民族の遺骨と大阪大学
3% 北米先住民族の子どもの売買/DAPLプロジェクト
2% いつの間に?――アイヌ総合政策推進会議
2% NAGPRA(先住アメリカ人墳墓保護・返還法) 3題
2% 「遺骨・DNA研究と先住民族――人類学研究と人体組織試料」
1% アイヌ遺骨返還訴訟、(部分的に?)和解成立(+P.S. 8つ)
1% 「自由と平和のための京大有志の会」の声明書(全文)
1% 「遺骨・DNA研究と先住民族――人体組織は誰のものか」
1% Alert, alert!(警鐘)――「アイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方」(その3)
1% アイヌ民族衣装(?)のファッションショー
1% バラク オバマ大統領は、なぜ「黒人」なのか?(P.S. 7つ)
1% 「コングレッショナル・フェロー」(w/ P.S. 7つ)
1% Ainu Ancestral Remains and Funeral Objects: the Repatriation Controversy in Japan
1% 反DAPL キャンペーン(第3弾=多分最後)
1% 「コープ ノース グアム」日米豪他合同空軍演習
1% サンディニスタ革命政権と国連での北米先住民族――断章
1% インディアン カジノの「成功例」:マシャンタケット ピークォット トライブ

 これを見ながら、「Alert, alert!(警鐘)――「アイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方」(その3)」を書いていたことを改めて思い出した。

P.S. #6(12.26):因みに、今日は月曜日で他の平日とは違っていたが、通常は朝8-9時台(仕事開始時)にアクセス増があり、正午から、特に午後1時台(昼休み)に平日のアクセス数が最多となる。そして、午後5時台(勤務明け)にまた増え、次が午後10時台(就寝前)となる。深夜1時とか2時台にも上がるが、これは恐らく1人か2人によるものだろうと思っている。同じ人が1日に3回も4回もアクセスしているとすれば、有難いこととはいえ、全体のアクセス数は大したことないなと考えてしまう。帰宅前にチェックした人が就寝前にもう一度チェックしているとしたら、それは無駄です。午後5時から10時の間に投稿するということは、ほぼ100%ありません。また、午前8-9時から午後1時の間にもありません。

  P.S. #9(12.27, 23:20):おもしろい! このP.S.#6のせいか、今日は午前7-9時の3時間にピークとなり、午後1時台は0! これは、最近では記憶にないこと。そして、午後10時台も少なくなっている。

P.S. #7(12.27):読者のみなさんは、この奇妙な事実にお気づきだろうか。北海道アイヌ協会のサイトで公開された「報告書(案)」には、それが作成された日付が入っていない。いつ出来上がったのだろうか。最終化された時に入れるつもりなのかと当初は思ったが、しかし、パブリックコメントの期間を年末年始を挟んだ1か月間に限定していることからも、「報告書(案)」が出来上がって公開されるまでにどれだけの時間が経過しているのかを知るためにも必要な情報である。まるで、この「報告書(案)」自体が、その杜撰さを指摘されている、墓を盗掘した人類学者たちがその日付を記さずに研究論文に利用していることと似たりよったりではないか。

 「中間まとめ」が出来た時には、それが5月のアイヌ政策推進会議に提出され、配布資料として、また議事概要にも載って、公開された。北海道アイヌ協会パブリックコメント募集のために公開したのが12月19日となっているが、「報告書(案)」に記載されているラウンドテーブルの最終会合(第9回)は9月13日である。「中間まとめ」を北海道アイヌ協会が自らのサイトに出して公開したのは、8月6日の「国際先住民族の日記念事業」の4日後の8月10日、つまり今回と同じなのか、約3カ月後であった。しかも、今回の「報告書(案)」には、9月13日以降に開かれた第27回と第28回の政策推進作業部会の議事概要でもまったく言及はなかった。3カ月の間、どこにも公開されて来なかったのではないか。

 どこの誰が、そのような操作を行っているのだろう。コメントを求められているパブリックは、まったくバカにされているのではないか。

P.S. #8(12.27):この記事の上方、道新記事の下2段落目で「北海道アイヌ協会」に下線を引いたのは、なぜ同協会が、という意味を込めてであった。公益法人としての北海道アイヌ協会が「公益」に縛られているにしても、まず第一に意見を求めるべきはその会員であろうし、また、アイヌ民族を代表してこのラウンドテーブル(RT)に参加していると主張するのであれば、「パブリック」にコメントを「実施」するのではなく*5、広くアイヌ民族の意見を募集するべきではないのだろうか。そもそもRTが発足したことも当初は知らなかったが、それからこの報告書案まで、同協会の「記念事業」1回で「一般市民への説明と意見聴取」(p. 2)を済ませたというのも、このRTが行っていることは、中味もさることながら、手続き的にも単なる形式に過ぎないことを表している*6。その意味でも、この文書はレジティマシィ(正当性)を欠いている。

P.S. #11(12.28, 23:44):11月上旬にここで注目しておいた木村氏が、アイヌ遺骨のDNA鑑定をめぐって新たな行動を起こしたようだ。また、日本考古学協会も「これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル報告書(案)」へのコメント募集を実施していることを知ったが、自分たちで集めているのではなく、北海道アイヌ協会のサイトから意見を出せとのこと。私は、調査を行ったわけではないが、現在進行中の「アイヌ遺骨問題」に関しては中高年のアイヌの方が若者たちよりも強い関心と懸念を抱いている。しかし、木村氏の例でもそうだが、多くの人がインターネットを自由に使える環境や状況にない。これも、この「パブリックコメント」の手続きの大きな問題の一つである。

P.S. #12(12.29, 0:30):良く出来た筋書き
 P.S.が#10を超えているので新規投稿にしようかと思ったのだが、本文に引用した道新記事との関連なので、ここに入れておく。
 私は、ここで、北海道アイヌ協会の「加藤氏の世界考古学会議への出席は、北海道アイヌ協会と『アイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル(中間まとめ)』を取りまとめた人々・組織の『利益の一致』だったのではないかと勘ぐっている」と書いた。
 加藤理事長は、特に今年の初め頃から、政策推進作業部会でもバラバラに「保管」されているアイヌ遺骨の一体化を「人権問題」として訴えてきている。
 世界の考古学界では、先住民族の墳墓や遺骨・埋葬品の扱いを無視することができない動きがある。日本で、しかも会長が日本人で、世界考古学会議を開くとなれば、この国の先住民族の墳墓や遺骨・埋葬品の扱いをまったく取り上げないというわけにはいかない*7アイヌ民族「最大の」北海道アイヌ協会の加藤理事長にお出ましいただいて、是非とも日本の考古学界とアイヌ民族との「協働」の姿、あるいはこれからの展望を世界に向けて「発信」して戴きたいというのは、会議主催者の強い願い――常本氏流に言えば、「利益」――であっただろう。
 そこで加藤氏は、「国の責任の下で、発掘された時の姿に戻すことが、あるべき慰霊の姿だ」と演説の中で述べた。しかし、何が不都合なのか、政策推進作業部会でも、それを報じたメディアによっても、未だにその部分が前後の文脈とともに正式に公開されていない*8。私はここで、加藤氏が言った「『発掘された時の姿』とは、バラバラにされている遺骨を元の1つの『姿に戻す』という意味だったのではないかと[考える]方が、これまでの流れの中で辻褄が合う」と書いた。
 そこで、「人骨研究」を生業とする分子人類学者たちが登場する。まず手始めに、「一体として特定できない一部の遺骨515箱」の「ばらばらに保管されている可能性のある遺骨をできるだけ一体として特定」することにしましょう。これは「人権問題」ですし、「研究者としての責務」ということで行えば、反対の声も減るでしょう。「集約施設」に移してからでは「これからの研究の在り方」とか何とか、「持ち出し」の手続きも七面倒くさくなりそうですから、「DNA鑑定は各大学が行う」ということで今のうちに行なえば、私たちの仲間がそれぞれ研究の一環として行えることでしょう。私たちが、文部科学省の担当者と掛け合って、説得いたします。

 いま書いておかないと初夢にでも出てきそうだ。なお念のため、これは私の「小説の書き方」の練習であり、純粋なフィクションであることをお断りしておく。北海道アイヌ協会の「幹部」の誰かが「沈黙を破る時」が来れば、ノンフィクションとして書けるかもしれない。

P.S. #13(12.29):今年もいろいろなことをやり残したまま過ぎ去ろうとしている。「A Double-Edged Sword(諸刃の剣)」シリーズもその一つである。このシリーズで取り上げていたシンポジウムについては、北大の流し台の下のタンクの先生方は良くご存知のはずなので、タンクのサイトにその記録集の翻訳でも載せるという「社会的還元」を行ってもらうと良いだろう。(そのことも含めて、少なくとももう1回はこの件について書くつもりである――書かねばならない。)

 ところで、この記事の中で引用した北海道新聞の記事に紹介されているドロシー リパートさん*9であるが、そこに書いた通り、今回の考古学会議での彼女の活動については入手していない――していても、読む時間を取れていないだろうと思う。

 「A Double-Edged Sword」の連載を続けていたら取り上げる予定だったのであるが、昨秋のそのシンポジウムでリパートさんは、遺骨の「返還と遺伝(学)的アイデンティティの限界」について非常に興味深いことを報告している。一部訳出して参考に供することにする。

本日、私は、DNA分析と[遺骨の]返還の交差点についてお話ししたいのです。私たちが最近の10年間で見てきたことは、返還のためのDNAの利用に関する質問の数の増加です。人々はしばしば、DNAが私たちが現在行っているよりももっと素早く、あるいはもっと高い精度で私たちが事例を解決する手助けとなるのではないかと考えます。私は遺伝学的分析にとっての場所はあるかもしれないと考えていますが、それは現在、私たちのニーズに容易に適合しません。

(略)

そういうことで、遺伝(学)的アイデンティティと返還に対するその関係をどう考える/理解するべきでしょうか。現在、国立[自然史]博物館には、私が知る限りにおいて、返還の調査研究においてDNA分析を用いる計画はありません。それが役に立たないと考えてはいません。ただ、[この問題にとって]まだ適切(relevant)ではないというだけのことです。現在、私たちの返還のプロセスで私たちが検討してきた遺骨の過半数を返還することが可能です。最終的に新しいテクノロジーが文化的に帰属不明として現在リストに載っている個々の人々を私たちが返還する役に立つかもしれないと私たちは考えています。DNAはこれらの新しいテクノロジーの一つであると私は考えていますが、現時点では、それは、それが答えを出すより多くの疑問を生み出します。

<もう少し、明日か明後日に。>

P.S. #14(12.30):今夜は疲れてもいるし、かつ2つ後の投稿の影響で昨晩ほどに気持が集中していない。誤訳しないように注意しながら、昨晩やり残した部分を取り敢えず訳出しておく。P.S. #12の最後から続く。まだ書かねばならないことのために出典は明記せずにおくが、本ブログの一般の読者で必要な方にはお知らせする。上述の通り、北大周辺の関係者は、既にご存知のはずである。

返還される人の遺骨/遺骸は、それらに伴って入って来なかったたくさんのものと一緒に帰ります。遺骨/遺骸は、それらが研究のために利用された時にそれらの頭蓋に書かれた数字、それらの墓の中に置かれた金属物からのシミ、それらの関節軟骨と置換するために使われる金属線からのシミと一緒に返されます。それらは、考古学者たちによって付与されたアイデンティティと一緒に帰って行きます――「サザン アラパチア人」、「ミシシッピ人」、「ナチェス人」、など。遺骨/遺骸はまた、それらが一緒に埋葬されたものが減った状態で戻ります。それらは、ほとんどの場合、名前が欠けていますが、また、その骨格や副葬品の一部を欠いてもいます。私たちが万一DNA試験を適用すれば、それは破壊的なプロセスなので、遺骨/遺骸は自分たち自身のさらに多くを欠くことになるでしょう。それゆえに、私たちは、DNA試験を行なうというのであれば、その長所短所の帳尻が合い、そしてそれが遺骨/遺骸が自らのアイデンティティを取り戻すことに役立つということを確実にしなければなりません。祖先たちの遺骨/遺骸は、細心の気配りと愛情とともに墓の中に安置され、そしてそれらは、そのコミュニティによって同じ方法で受け戻されます。返還過程において私たちが考古学者として何を行うにしても、それを同じ精神で行うことが死活的に重要です。

 なお、ここで言う「考古学者」には「人骨研究」人類学者を含めても良いだろう。

 上のP.S. #5の影響か、Yahoo!検索からのアクセスが完全に消えてなくなっている!!

P.S. #15(12.31, 0:25):2012年の12月には"Against the Wind"ブログで追記が16まで行ったが、それに次ぐ数になってきた。
 本文に引用した北海道新聞の記事は、28日付(5日後)で次のように訂正されたと、このブログ記事に書いてあった。

「2019年度までに骨学的に同じ人のものであるかどうかを確認するとともに、これによる一体化が難しい場合に限り、アイヌ民族の同意を得てDNA鑑定の活用も検討するという方針を固めた」(24面)と。

これは以前に政策推進作業部会でも出ていたことと同じだと思うが、記事の担当者は、どこかからの「リーク」に頼って、その辺の照合・確認を怠っていたということなのだろうか?

*1:それに、コメントは、「実施します」ではなく、「募集します」だろうに。

*2:5ページに「謙虚な研究態度」とか「透明性」といった文言が出て来るにもかかわらずである。そして9ページでは、遺骨も文化的に神聖な遺品も、あくまでも「資料」という見方に変わりがないことが露呈されている。

*3:もっとも、同協会は、奪われた遺骨の人類学者による研究を容認する理事会決定をしている団体でもある。2年数カ月前の政策推進作業部会で、流れの変化の兆しを察してなのか、人骨研究者か誰かがアイヌ協会にその件を再確認させるような発言があった。そして同年秋の理事会で同協会は、それを再確認している。この件は、過去の記事で取り上げいる。

*4:UNDRIP, article 18: Indigenous peoples have the right to participate in decision-making in matters which would affect their rights, through representatives chosen by themselves in accordance with their own procedures, as well as to maintain and develop their own indigenous decisionmaking institutions. 第18条について、こちらの「『参加』の中身」も参照されたい。

*5:ここでもまさに行政機関の下請け作業をしているという印象を受けるが、同協会のトップも遺骨を研究材料にしたくてたまらないのかもしれないから、「実施」の発端がどこにあるのかは未知としておく。

*6:「記念事業」の際か、その後で、今後は東京やその他の地域でも同じような「説明と意見聴取」を行う予定だと、これもいつぞやの議事概要だったかどこかで読んだ記憶がある――「明かせ」と言われるなら、時間のある時に探しておこう。

*7:ところで、琉球・沖縄の先住民族の団体からの参加はあったのだろうか。

*8:この件については、この記事を参照して戴きたい――2016.12.30, 2:00。

*9:ここでも登場しているスミソニアン国立自然史博物館の遺骨返還担当係官である。この記事を書いた道新記者は「チョクトー族」と書いているが、この記者は「アイヌ族」と書くのだろうか。