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AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

「これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関する ラウンドテーブル報告書( 案 )」を読む③

3.アイヌの遺骨と副葬品に係る研究の基本的な考え方

 日本人類学会と日本考古学協会は、それぞれの研究がアイヌの歴史の復元において果たす役割の重要性を認識するとともに、研究する側とされる側の立場について、また誰のための、何のための研究なのかということを、十分に意識し研究に取り組む。(⇒過去の反省が述べられてはいるが、「『アイヌ人骨の返還・慰霊のあり方 先住民族の人権─責任と公益─』から」での篠田氏や百々氏の「謝罪」に関する発言を思い起こせば、特に人類学者の本気度が疑われる。そもそもこの「報告書(案)文書に書かれていることから分かるように、この文書は、2014年の北海道アイヌ協会の「記念事業」の延長線上に存在している。関連箇所で指摘するが、終盤にこの文書の主題から逸れる項目が紙幅を費やしている。ならば、謝罪の文言を含めても良いのではないか。)


(1)研究にあたって留意されるべき基本原則
 アイヌの遺骨と副葬品に関する研究の実施に当たっては、以下のことに取り組むことにより、学術界とアイヌのお互いの信頼関係を構築するための継続的な努力を行う必要がある。(⇒良いだろう。しかし、これまでのアイヌ政策関連会議の内外での人類学者によるNAGPRAに関するナンセンスな発言を振り返ると、どのような努力をどのように行うのだろうか。この「基本原則」にUNDRIPの「尊重」をトップに持ってきているが、アイヌ協会理事会での第31条の解釈――それはアイヌ総合政策室か人類学者か、どこかその辺りからの押し付け解釈であるかもしれない――のようなこともあるし、下に書かれていること自体がこの文書内での矛盾を残しているし、またUNDRIPの「趣旨」そのものの理解も不十分と言わざるを得ない。)


①「先住民族の権利に関する国連宣言」(UNDRIP)で示された権利の尊重
 研究者は、「先住民族の権利に関する国連宣言」に示された先住民族の権利尊重アイヌ民族に承認するべきであり、特に第11条、第12条及び第31条1)などの趣旨に鑑み、アイヌが自らの祖先の遺骨と副葬品に有する権利の行使尊重するとともに、アイヌの遺骨と副葬品に対するアイヌの人々の考え方を尊重する必要がある。(⇒この文で「アイヌ」と「アイヌの人々」と分けているところがミソである。この文書では「アイヌ民族」という言葉は6ページの1カ所を除いて使われていないが、「アイヌ」が集団的あるいは一般的な意味で使用されている。ここでわざわざ「アイヌの人々」と出しているのは、過日某「有識者」の発言として耳にしたことから判断すると、「権利を尊重」しはするが、アイヌの個々人には研究に使って欲しいという人もいるからその人たちの考えを尊重して遺骨を集約するのだという詭弁に利用されそうな文である。)例えば、アイヌとっては限らず、遺骨と副葬品は一体となっていることこそが精神文化を表すものであり(⇒これは、加藤理事長の意向を受けて、「集約」の正当化に利用されそうな文言である。(それに、一体にしても研究課題が違えばどちらかが不要になったりしないのか。))仮に研究の対象とする際(⇒「仮」もへったくれもない。「研究の対象とする」こと自体が「独自の世界観や宗教観」(p. 2)を無視することにはならないのか。それは「精神文化を表す」のか。)にはその考え方を尊重することが不可欠である。(「人骨学者」や「憲法学者」、そして官僚たちの辞書には、さまざまな「尊重」の意味が載っているようである。そもそも、「先住民族の権利」宣言は、遺骨・副葬品の先住民族の元への返還や、それらに対する先住民族によるコントロール、そして「過去」に関する知識のコントロールを「趣旨」とするものであり、断じて盗掘遺骨・副葬品の研究材料化を謳ってはいない。この「報告書(案)」が包含する「先住民族の権利」宣言との矛盾については、別途、拡張して論じることにする。)


②的確なコミュニケーションの確立と謙虚な研究態度
 研究者は、アイヌの精神性と深く結びついた文化遺産や歴史を研究対象とする際には、これまで置かれてきたアイヌの歴史的、社会的立場等に配慮しつつ、文化遺産の継承者(⇒遺骨返還ガイドラインと同じ考えか?)であるアイヌとの十分なコミュニケーションを得る必要があり、「文化を持っている人たちの理解と協力があって初めて学ぶことができる」という基本的な姿勢を持つべきである。また、自らの研究成果が、アイヌの民族的アイデンティティの形成などに深く関わり、強い影響を及ぼすことを意識し(⇒形成だけでなく、破壊的な影響を及ぼす場合もある。また、「民族的アイデンティティ」と生物学的/遺伝学的アイデンティティは同じと考えているのか。研究の結果、これらのアイデンティティが符合しない場合の影響について考慮しなくてよいのか。)、現在のアイヌと共に過去を検証し、現在を認識し、将来へ提言するという姿勢も持つべきである。とりわけ研究を実施計画する前に適切なインフォームドコンセント(⇒誰からの?)実施する得ることが重要である。研究の計画・実施・成果報告・成果の活用や資料の保管整理など研究活動のあらゆる過程において、アイヌの意見に真摯に耳を傾け、アイヌの承諾(遺骨の承継者が特定できていない状況で誰からの承諾?)をもとに研究を実施するとともに、アイヌの研究への参画の可能性を模索し、協働をすすめるべきである。二つの学協会は、このような取り組みを通じて、学術界とアイヌのお互いの信頼関係の構築に努力する。


③透明性のある研究の実施
 アイヌの遺骨と副葬品に関する研究の実施に当たっては、透明性の高い枠組みを確保していく必要がある。研究の実施に際しては、特に研究倫理面に留意する必要があり、中立的な組織による事前審査を受ける必要がある。(⇒このラウンドテーブルのやり方一つを取ってみても、それはどの程度「現実的」なのだろうか。)またアイヌから寄せられる研究に対する具体的な要望にも、真摯に耳を傾け、的確に対応すべきである。
 研究倫理をどのように研究者に周知させるかについては、学術界の責務であると認識しており、その説明責任を果たしていかなければならない。


(2)これからの遺骨と副葬品を用いた研究のあり方
 アイヌの遺骨と副葬品を研究利用する際には、上記の基本原則に則り、当然の前提として、人の死に関わる問題である点に鑑みて、なによりもアイヌ自身の世界観、死生観を尊重することが求められる。また、アイヌの遺骨と副葬品の慰霊と返還の実現が第一義であり、研究に優先されることを十分に理解する必要がある。
アイヌの遺骨と副葬品の尊厳を守り、慰霊と返還の実施とともに返還請求には最大の配慮で応えることが第一義であり、研究に優先されることを十分に理解する必要がある。(⇒ここは、削除忘れだろうか。だが、この2つの文を比較すると面白い。)
 遺骨と副葬品から得られる情報には、アイヌ民族の歴史や文化を知る上で必要な以下のような情報が含まれている。人類学的な研究では、1)骨の形態などに残された痕跡から復元される過去の生活の様子、2)骨に含まれる分子分析等から得られる血縁や系統に関する情報および食性などの復元、3)集団の人口構成や集団間の比較を通じたアイヌの時代性や地域性、独自性などを明らかにすることができる。また考古学的には、4)遺跡から出土する漆器や金属製品、ガラス玉などが示す活発な交易活動、など文字や絵画資料には記録されないアイヌの実在としての歴史を復元することが可能である。また、これらの時代による文化変容や居住域などをはじめとした研究成果をアイヌに還元する(⇒ここだけ「社会へ」ではないことに注目!)ことは、アイヌ先住民族としてのアイデンティティ形成等に寄与することとなる。(上にも書いた通り。しかも、これは考古学と自然/遺伝人類学とでは違うのではないか。これらの研究成果がどのように現在の奪われた遺骨の取り扱いと関係しているのか、問題を逸らしている。「アイヌの遺骨と副葬品の取り扱いをめぐる問題」と繰り返されるが、どのような性質の遺骨と副葬品かがベールに包まれている感じだ。)
 アイヌの遺骨と副葬品の取り扱いをめぐる問題の解決(⇒これも上に出てきた。どういう状態を解決と考えているのか。)当たっては、研究の当事者である二つの学協会が、過去の研究を振り返り、研究の経緯や得られた研究成果をまとめ、アイヌへわかりやすく説明するとともに、積極的に広く社会へ還元していかなければならない。(⇒奪った遺骨・副葬品による「過去の研究」の正当性を認めるというのだろうか。)


(3)研究の対象となる遺骨と副葬品
 これまで大学が保管していたアイヌの遺骨と副葬品、及び今後の発掘調査により出土するアイヌの遺骨や副葬品のうち、以下の条件に触れるものは、研究倫理の観点から見て研究対象とすることに問題がある。
先住民族との関係で問題があるもの)
先住民族の権利に関する国連宣言の趣旨に鑑みてアイヌの同意を得られないもの
(遺族感情から問題があるもの)
②遺族感情や、海外における法制度やガイドラインの事例を考慮して、研究が行われる時点から見て三世代(なぜ3世代?それは、アイヌの「宗教・世界観」と合致するのか。)以内、すなわち概ね100 年以内に埋葬された遺骨や副葬品2)
③現在の遺族等への影響を鑑みて、収集経緯を公開できないもの(学術資料の一般的な取扱いとして妥当でないもの)
④学術資料の一般的な見地から見て、収集経緯が不明確であるものや、時代性や埋葬地に関する情報を欠如するものや、資料の正確性を担保する基本的データ(例えば、発掘調査時の実測図、写真、出土状態の記載)が欠如するもの。そのほか、調査行為自体(⇒例えば何が含まれるのか不明瞭。もっと具体的に。)に研究倫理の観点からみて学術資料として活用することに問題を含むもの
 なお、上記の①から④の条件に触れる遺骨と副葬品は研究対象としないことを原則とするが、④の条件に触れる遺骨及び副葬品のうち、アイヌも交えた検討と判断の結果として、研究の有効性がしかるべき手続きを経て保証されるとみなされる場合には、限定的に研究を行う可能性も残される。(⇒①で書いた通り、この但し書きは削除するべき。この但し書き一文によって、この文書のは完全に抜かれており、一番の問題点である。この3者のラウンドテーブルによる検討は、そもそも何のために行ってきたのか。学史的な回顧と反省なら自分たちの学会の中で勝手にやっていればよい。ここの前後に書かれている研究手続きを踏まずに行われる研究やその成果は、これからの国内外の学界においては受け入れられないであろう。それにもかかわらず、国際的な基準を無視してこれらの学会員の研究が行われるとすれば、この国の研究水準がその程度のことと評価されるまでのことである。両学会がこのような検討を行わねばならなくなった社会的な背景が出来てきたのは、盗まれたアイヌ遺骨や副葬品の集約施設への移管とそこでの「研究資料」化が課題として上がってきたからであろう。それにもかかわらず、これでは何の解決にもならない。)


(4)研究の実施にあたっての新たな枠組み
 研究の実施に当たって、倫理的・学術的妥当性に問題のある研究を排除する意味で、研究を希望する研究者は、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年12月22日 文部科学省厚生労働省)に則り、予め大学等研究機関の倫理委員会(もしくはそれに相当する組織)における審査を受けることを原則とする。さらに上記の指標にのっとり、当該遺骨と副葬品が研究対象としてふさわしいかどうか、また研究の立案や実施が適切であるかについて、アイヌ関係者学協会関係者で構成される中立的(⇒これも①で書いたが、まず、このラウンドテーブルの構成自体が「中立的」ではない。また、遺骨の返還そのものにおいて政府の顔色ばかりうかがっている遺骨を保持している大学やその研究者が主に構成している学界の日本的な風土で、この問題に関してどこまで「中立的」であり得るのか疑問である。それがない現状よりややマシという程度だ。)「研究倫理検討委員会<仮称>」(以下、「委員会」という)において、審査を受け、承認を得るものとする。「委員会」において審査を受けた研究の成果に係る学術論文には、必ず「委員会」での審査を受け承認を得た旨を記載するものとする。(⇒本来、各学協会でこれを確立してから、アイヌ民族に話をしに来るというのが、アイヌ側からすれば筋ではないのだろうか。)
 アイヌの遺骨と副葬品を保管管理するものは、遺骨と副葬品の研究利用の適否の判断に当たって、「委員会」での審査を得る意義を認識し、その結論を尊重(「従う義務」とせずに、「尊重」だけで良いのか。)する必要がある。
 また象徴空間に集約される(⇒既成事実化されている)遺骨と副葬品についても、遺骨と副葬品の研究利用を目的とした搬出(「慰霊」のためと言いながら、このラウンドテーブルのメンバー――特に研究者側であろうが――の頭には既に、「搬出」が妥当な遺骨と副葬品があると描かれ、判断されている!)の適否の判断に当たっては、「委員会」での検討を受け、その結論を尊重(同上。従わなかったら、どうなる?)する必要がある。


4.今後検討すべき課題
 以下の点については、今後もアイヌ関係者と学術界とが継続して検討していく。

(1)研究倫理検討委員会の具体的構成等の検討
 3.(4)で示した「委員会」について、その設置に向けた構成、運用指針について「設置準備委員会」を関係者により設け、具体的検討を進める(骨子は参考資料を参照)。海外での類似の組織の設置状況と運用の比較について情報を収集、整理し、日本の実情に即した取り組み方(「世界基準」ではなく、か!? 「日本型先住民族政策」の範囲内でのことだからな。先住民族の権利に関する国連宣言について、政府と「有識者」が言っていることを想起させてくれる。)を提示する。過去に収集され、研究機関に保管されている血液サンプルやDNA などの研究資料の二次利用についても研究倫理の観点から、研究者とアイヌとが制度的枠組みについて検討を行う。(⇒「血液サンプルやDNA などの研究資料」への言及が入ったのはマシだが、それだけでなく、遺骨と同じように、これまでに医学・人類学者によって集められ、研究利用されてきた人体組織標本(例えば51人のアイヌの血液)の収集経緯を明らかにして、不当に収集されたものは返還し、またそれから「株分け」された組織標本の二次利用を禁止するべきではないのか。)


(2)研究成果の公開促進の具体的内容
 北海道アイヌ協会、日本人類学会、日本考古学協会の3者は、研究成果を共有(これまで、そして今後これらの関係者が想定している研究の被験者は、同協会員やその家族とは限らないし、コタンという地域から奪取された遺骨の中には「アイヌ」だけでなく(生物学的に)「和人」のものがまったく含まれていないという保証はないのではないか。そうであれば、この方法で良いのだろうか。)広く一般に成果を周知する(「社会還元」に関しては、既述の通り、公開できない、あるいは、してはならない情報があるのではないか。こういう問題の検討のためにも、なぜ文化人類学者や生命倫理学者などを除外したのか。それとも、そういう人々には辞退されたのか。)場としてのシンポジウムや講演会を継続的に共同で開催する。研究成果の公開にあたっては、文化人類学歴史学言語学など関連領域の成果も合わせて、周知できるように努力する。
 また最新の人類学、考古学の知見を、一般に還元する観点から、二つの学協会と北海道アイヌ協会が連携して、子どもから大人までが親しむことのできる概説書を作成する。


(3)今後、出土する遺骨と副葬品の取扱いについて
 国内には、現在、各大学や研究機関、博物館等に保管され、国の慰霊施設へ集約されることが予定されているアイヌの遺骨と副葬品と、文化財保護法に基づき行われた埋蔵文化財調査で出土し、既に文化財認定を受けて大学研究機関や博物館等に保管されているアイヌの遺骨や副葬品、同じく文化財保護法に基づき行われた発掘調査で出土したが、文化財認定が行われないまま大学研究機関や博物館等に保管されているアイヌの遺骨がある。加えて今後実施される埋蔵文化財調査で新たに文化財認定を受けるアイヌの遺骨と副葬品の出土が想定される。
 文化財保護法の下での調査において出土し、文化財認定を受けるアイヌの遺骨と副葬品は、出土経緯やその所有権が明確(その前提を問い、その「所有権」の移転は考えられないのか。そのことに北海道アイヌ協会のお三方は、沈黙してきたのだろうか。)であるが、世界考古学会議において示されているヒトの遺体の取扱いについて規定した「バーミリオン協定」や遺体や聖遺物の展示について規定した「タマキ マカウ・ラウ協定」、アメリカ自然人類学会の「倫理綱領」、日本人類学会による「人類学の研究倫理に関する基本姿勢と基本方針」などの精神を踏まえ、その尊厳に配慮しつつ保管・管理される必要がある。すでに繰り返し述べてきたように、アイヌの遺骨と副葬品は、死者の埋葬に伴う一連の慰霊行為に関わるものであり、アイヌにとって遺骨と副葬品は一体であり、精神文化を反映し、それら諸々に関わる文化的営為はとりもなおさずアイデンティティ形成等において重要な役割を果たすものである。(ならば、やはり元の場所に戻すべきではないか。「文化財」の「所有権」について語るべし。)調査研究に従事する者は、このことを十分に考慮し、遺骨と副葬品を切り離すことなく、同じ場所において尊厳や慰霊に配慮しつつ保管・管理する(ちっとも「先住民族の権利」宣言を尊重していないではないか! しかも、少し上で「搬出」に言及したばかりである。)よう努力すべきである。
 二つの学協会は、今後出土する遺骨と副葬品の取り扱いについて、アイヌの意見(⇒このラウンドテーブルのようなやり方で?)を踏まえつつ、文化財を監督する関係機関と有機的な連携を通して(⇒まったく研究者たちの文書だ。言葉だけが、五輪での踊りより先に躍っている。)、その在り方をさらに検討していく必要がある。


(4)人類学資料を取り扱う専門家の確保について
 現状では、北海道や市町村、埋蔵文化財調査機関に配置されている文化財担当の専門職員は、考古学を専門とするものが多い。一方で北海道内には人類学の専門家は組織的に配置されていない。そのため遺跡から出土する遺骨資料について適切な取り扱いが十分になされていない。今後も北海道内各地で実施される発掘調査において遺跡から遺骨が出土する状況が予測される(⇒これにアイヌは何の発言権もないのか。)こと、また、象徴空間においても、集約された遺骨の適切な保管・管理・返還を行う必要があること等から、北海道内の機関・施設に必要に応じ遺骨の管理返還を的確に行い得る専門的知識を有する専門家を確保する必要がある。


(5)人類学資料を取り扱う人材の育成について
 現状において文化財の専門家養成のための教育課程は、考古学や文化財科学に重きを置いており、自然人類学に関する基礎的知識を学ぶ機会が担保されていない(⇒ここは、篠田氏らによる利益主張である。このラウンドテーブルの主題と直接の関係があるのか。なぜ、これをここに入れないといけないのか。「中間まとめ」にはなかった。)。今後も埋蔵文化財の発掘調査の担当者には、人類学的な専門知識が不可欠であることは明らかであり、海外での教育制度と同様に大学における専門家育成の教育課程で自然人類学と考古学が連携した教育課程の整備を検討する必要がある。(⇒この項目をここに入れることで、集約される(=略奪された)アイヌ遺骨を「教育資料」としても利用しようとしているという批判を招くだけであろう。「慰霊施設」から「搬出」して教材としても利用したいというのだろうか。篠田氏の「国立科学博物館等では北海道アイヌ協会と協議の上、本物と見分けがつかないほどの精巧な遺骨のレプリカを展示しているという事例がある」という話が第20回政策推進作業部会の「議事概要」に出ているが、形質人類学とは違うから、レプリカでは役に立たないのだろう。細々とは書かないが、略奪された遺骨が教材にされている光景を想像してみるとよい。何が「尊厳ある慰霊」だ! これが単なる深読みにすぎない誤解というのであれば、なぜこの項目をここに入れる必要があるのか。)


(6)海外に存在する遺骨について
 アイヌの遺骨は、国内の大学や研究機関、博物館、教育委員会埋蔵文化財調査機関のみならず、海外の研究機関に研究資料として保管されている。それらの遺骨が所蔵される具体的な機関についての情報、またそれらの遺骨がどのような経緯と目的で所蔵され、これまで研究利用されてきたのかについて明らかにすることは、過去の研究のあり方への振り返りとともに研究者の責任である。二つの学協会は、国際的な研究者ネットワークを活用し、これらに関しての情報収集に努め、アイヌとの情報共有への速やかな返還を図っていく。


(7)アイヌ文化に関する研究の振興との関係
 遺骨と副葬品に関する研究は、上記3.(2)の意味においてアイヌ文化の復興に関わる研究という側面を持つ。国においては、先住民族政策としてのアイヌ文化の復興を目指す観点から、遺骨と副葬品に関する研究を含む、広くアイヌに関する学術研究についての具体的な振興策を検討する必要がある。(⇒これが、ここの学者たちの利益目標であろう。これに北海道アイヌ協会も同調しているのだろう。それがどう「アイヌ文化の復興」につながるのかを説明する「研究者の責任」がある。まさに「文化帝国主義」と同じだと言われぬためにも。)
 また、とりわけ遺骨と副葬品に関する研究については、本ラウンドテーブルで検討された、アイヌと学術界の新たな関係を前提としたものとして行われることが肝要である。
 二つの学協会と北海道アイヌ協会は、国際的な先住民族の歴史文化遺産の保存と活用についての動向や情報を積極的に収集するとともに相互に共有し(⇒どうも白々しく響く。そういう情報こそ広く社会に還元して問題はないはずだが、狭い所に仕舞い込んでいはしないか?)アイヌ文化復興に寄与するべく、互いに協力していく。

註1)
先住民族の権利に関する国連宣言(抜粋)」
(⇒省略。)


註2)
 研究の対象とする人間の遺体について、海外では、時代的な枠を法制度やガイドラインで規制している事例が認められる。例えば、英国では2004年に制定された「人体組織法」(the Human Tissue Act 2004)において、植民地政策の下で100年前から200年前の時期に収集された先住民族の遺体は研究目的での保管に適さないと判断され、研究利用が規制されている。また血縁関係を有する後継者、文化コミュニティ、管理者、学術組織にこれらの遺体の請求権を認めている。一方で国内に先住民族であるサーミを抱えるノルウェーでは、1978年に制定された「文化遺産法」(the Cultural Heritage Act 1978)では100年前以上の古さをもつサーミの記念物・遺跡・あらゆる種類の墓を保護対象としている。なおかつ100年以内のものであっても、遺体の研究利用については、倫理的問題が指摘され、研究対象から外されている(これら2国の法律には具体的な条文への参照を記入するべきではないか。「人体組織法」についてはこのブログでも何回か言及してきたが、ここを参照されたい。)。同様の傾向はデンマークスウェーデンでも見られる。


参 考 資 料

これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル開催実績
(⇒省略。)


研究倫理に関する中立的委員会組織の骨子案

1.「研究倫理検討委員会(仮称)」の趣旨:
【現状】
(1)研究機関等に所蔵されているアイヌの遺骨や副葬品に関わる、あるいは、今後生じる開発行為や学術研究に伴い出土が想定されるアイヌの遺骨や副葬品に関わる調査研究については、「先住民族の権利に関する国連宣言」に明記された権利を有するアイヌの意向が反映される協議の場が無く、アイヌ独自の世界観や死生観等を(⇒既に書いた通り、矛盾している。)調査や研究(⇒この「和人」の「研究観」の問い直しはしないのか。)に反映させる機会が確保されていない。
【研究利用の可否判断へのアイヌの参画の実現】
(2)アイヌの遺骨や副葬品に関わる調査研究の実施に際して、研究利用の可否判断にアイヌが関与し、決定権を行使する機会を実現し、研究者に対してアイヌの意思や主張を反映させる機会を作る
【研究倫理基準の確保】
(3)現在、大学等研究機関に保管されているアイヌの遺骨や副葬品と、新たな発掘調査によって出土するアイヌの遺骨や副葬品に関わる調査研究の実施に際しては、事前の適切なインフォームド・コンセント(正しい情報を得た上での合意)が担保される必要がある。また研究対象の時代性を問わず、先住民族としての権利や文化振興に研究活動や研究成果は深く関与するため、学問領域を超えた研究倫理基準確保のために学術界とアイヌとの協業が必要である。(⇒それにもかかわらず、このラウンドテーブルは3者だけの閉鎖的会議でゴメンナサイ、だね。)

2.「研究倫理検討委員会(仮称)」が審査対象とする分野:
(1)当該委員会で取り扱う対象は、アイヌの出土遺骨と副葬品に限定することから、当面の間、直接それらを研究対象とする自然人類学、考古学資料を用いた研究のみを対象とする。

3.「研究倫理検討委員会(仮称)」の組織について:
(1)委員会組織の具体的な構成、細則を詰めるために、設置準備委員会を設ける。
(2)設置準備委員会の委員は、北海道アイヌ協会、日本人類学会、日本考古学協会の組織の長が推薦する委員(各組織から2名ずつを選出する)。(⇒文化人類学生命倫理学、国際人権法学など、そして一般市民など、外からの関与はないのか。それは、次の項の「オブザーバー」か?)
(3)設置準備委員会には、必要に応じてアドバイザー(オブザーバー)を参加させることができる。
(4)「研究倫理検討委員会(仮称)」の事務局の位置づけについては、設置準備委員会において検討する。

4.設置準備委員会が検討すべき事項:
(1)委員構成・任期
(2)事務局
(3)開催地
(4)開催回数
(5)審査書類の委員会への提出までの流れと受付窓口
(6)審査方法
(7)審査後の研究実施に際しての審査結果の表記の仕方
(8)委員会の周知の方法
(9)その他

まさに、ここまでやりましたので遺骨と副葬品を研究材料に下さいと言わんばかりの文書である。