AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

調和が課題?(w/ P.S. X 2)

 先ほどこのブログ記事を読んだ。その中の道新記事に一言だけ。

アイヌ遺骨研究の是非は」社会的利益と民族の思い、調和課題 倫理検討委設置へ7月準備委/北海道新聞04/22 05:00


 北海道アイヌ協会と日本人類学会、日本考古学協会は21日、アイヌ民族の遺骨研究の適否を判断する「研究倫理検討委員会(仮称)」設置に向け、7月にも準備委員会を発足させる方針を明らかにした。遺骨研究を巡っては、研究者や関係者の間でも是非が分かれており、研究の社会的利益とアイヌ民族の思いをいかに調和させるかが今後の課題となる。

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/science/science/1-0392144.html

 奪い去った遺骨を研究材料にし続けることに「調和」が必要なのか? なぜそれが「課題」となるのか。言葉の誤魔化しである。道新は、社説か何かできちんと「解説」するべきだろう。

P.S.(22:00):昨日未明にこんなことを書いて、短時間で引っ込めていた。

北にとどまるか
南へ行くか
それとも
地の底へ潜り込むか

 さて、北海道アイヌ協会のサイトには、こう書いている。

 北海道アイヌ協会日本考古学協会、日本人類学会、三者によるラウンドテーブルでとりまとめた標記報告書(案)へのパブリックコメント平成28年12月19日~平成29年 1月18日の日程で募集しましたところ、当協会宛に計43件の貴重なご意見が寄せられました。ご協力、誠にありがとうございました。

 これらのご意見等につきましては、今後の報告書作成に係る協議等に反映させていただきます。
 また、最終報告書取りまとめ次第、当協会HPでその結果を公開する予定です。

 この1月19日の記事が最後で最新の「新着情報」である。上の道新記事は、あの落合氏が予定されていた講演を取りやめてまで出席した(そうな)21日の政策推進作業部会で出た話を受けて書かれているようである。パブリックコメントのまとめも含めた「報告書」が政策推進作業部会に提出されたのであろう。しかし、現時点でもまだ、21日に「政策推進作業部会が開催されました」といういつもの事後報告すらないばかりか、2月と3月の「議事概要」さえ出ていない。時間が経てば経つほど、出てくる官僚の作文の信憑性が薄れるというものである。また、北海道アイヌ協会は、「取りまとめ次第」と書いておきながら、まだ「結果を公開」していない。「次第」とは、どういう意味でしょうか?
 「調和させる」ことが課題という「研究の社会的利益」が何か、「アイヌ民族の思い」とは何かを道新は詳しく報じる責任を負ったようであるし、そういう記事が出て来るのを期待しておこう。

P.S. #2(04.23, 0:24):親切な読者が記事の全文を送って下さった。有料記事のようであるが、非営利の「国民の教育」目的で利用させていただく。
 上に引用したのは、冒頭の1段落である。以下、第2段落以降を引用し、これまでのように、青字でコメントを書くことにする。下線や太字化は追加。

 三者は、同日開かれた政府のアイヌ政策推進会議作業部会で、遺骨研究のあり方をまとめた報告書を提示。過去に研究目的で遺骨を墓から収集した問題は研究者に反省を求め、遺骨をアイヌ民族側に返還することが研究に優先される基本方針を示した。その上で、遺骨などから得られる情報で「アイヌの時代性や地域性、独自性を明らかにすることができる」と研究の社会的利益を指摘した。<⇒これだけでは不十分である。「遺骨など」の「など」とは何か。それらからどのような目的の研究が意図されているのか。記者は、それがどのような「社会的利益」となるのか、アイヌ民族にはどのような「利益」になるのか、そしてまたそれから生じるリスクは何なのかを明示する必要がある。
 研究対象外とすべき遺骨として《1》アイヌ民族側の同意を得られない《2》100年以内に埋葬された《3》収集の経緯が明確でない―ものなどを挙げた。今後、研究が認められる可能性があるのは、江戸時代以前に埋葬され、 埋蔵文化財 として公的に認定された遺骨に限定される見通しだ。<⇒「100年以内」とすることの問題をはじめ、ここの段落に関することはこれまでにも書いたから、ここでは繰り返さない。
 札幌医大では、道路工事などに伴う発掘調査の際に出土した遺骨が道や市町村から寄託され、国立科学博物館(東京)の研究者らが既に2010年から、アイヌ民族の起源を調べる研究に活用している。<⇒「道路工事などに伴う発掘調査の際に出土した遺骨」が「道や市町村」の所有物になるという仕組みのおかしさ、そしてその研究許可を北海道アイヌ協会が与えるというおかしさ(次段落)。そのような発掘調査から出土した遺骨の中には非アイヌの遺骨が含まれている可能性が0とは断定できないのではないかという問題もあろう。
 この際、遺骨からの DNA サンプル採取については、北海道アイヌ協会に事前に説明し同意を得た。研究倫理検討委員会は、この同意手続きを参考にする可能性がある。ただ、発掘された地域のアイヌ民族からは「知らされていない。先祖の遺骨は土にかえってこそ安らかに眠ることができる」との反発もある。<北海道アイヌ協会と「学協会」は、事前説明と同意の内容を明らかにする必要がある。そうしなければ、2010年という時期から考えても、これは大問題となるだろう。場合によっては・・・[抑制]。
 報告書は、検討委の構成員を「アイヌ関係者」という表現にとどめた。研究者からは「道アイヌ協会だけではなく、地域の意向をより丁寧にくむ必要がある」と委員の人選への配慮を求める声が上がっている。⇒この書き方には、一番に遺骨の研究を推進したいのは北海道アイヌ協会(の「幹部」)ではないかと勘ぐらされる。だが、実態は「共謀」ではないのだろうか。

 何よりも、「慰霊」が虚しく完全に消えてしまったかのようである。

広告を非表示にする