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AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

「歴史の抹殺」!――やはり変わる気のない「人骨学者」(w/ P.S. X 3)

 アメリカやオーストラリアなどでは、過去に大学等の研究機関が収集した先住民の遺骨を埋め戻すrepatriationが行われている*1。これは先住民と研究者の間に政治家が関与した結果、実施された施策だが、一見、人道に則ったこのような解決方法は、歴史の抹殺にもつながりかねない危険性を持っていることに注意する必要がある。文字を持たない社会の成り立ちや現在の集団との関係を知るためには、人骨はほとんど唯一の情報源である。そのような人骨を研究者が永久にアクセスできない環境におくことの危険性*2を認識すれば、将来にわたって人骨標本が私たちの社会の成り立ちを考える上で有益な情報を提供できる環境を整備することが必要となるはずである。


人骨標本と人類学 - J-STAGE Home
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/20/5/20_5_15/_pdf
篠田謙一 著 - 2015

 あとで整理しなおすが、取り急ぎ、この記事のP.S. #2とP.S. #3(特にその中のフィリップ ウォーカー(Phillip Walker)の発言)と比較されたい。フィリップ ウォーカーの論文は、先日言及した(今は下書きに戻している)記事でリンクしておいた北大遺骨返還室の副室長、岡田氏が数多く参考文献に挙げていたことに気づかれた方もいるだろう。

P.S.(05.19, 22:45):「先住民と研究者の間に政治家が関与した結果」⇒そういう政治家さえいないこの国で、先住民族と国家の間に人類学者が関与して、歴史ではなくアイヌ民族を抹殺しようとした歴史はどうなるのか? そもそも、歴史って死ぬのか? ここここで取り上げた問題も、篠田氏にしてみれば、歴史を「抹殺」から救うためなのであろうか、それとも?

 「整理しなおす」と書いたが、2015年の論文のようでもあるし、急いて書くこともなかろう。アイヌ政策の遺骨返還方針が転換されようとして、今は「政治家」もどきの動きをしているのではないのだろうか。

 とうとうアイヌ総合政策室は、「議事概要」を今週も公開しなかった。政府用語では「議事概要」とは会議の議事の概要を記録するものではなく、会議が終わった後に辻褄の合うように、また有力「有識者」の都合のよいように書き換えられるものの呼称であるようだ。

 ところで、面白い話を耳にしたのであるが、最近、某医大に酔っぱらった感じのトドが迷い込んだらしく、死んだ後は自分の存在が消えないように剥製にしてもらうと申し出たそうである。トドの詰まりは、自由意思による献体と不法な墓荒らしで得られた「標本」との違いを理解できていなかったらしい。

P.S. #2(05.20):アイヌ人骨研究利用に関する札幌医科大学への質問書と記者会見のようす。読むべし。

P.S. #3(05.20, 22:50):上の引用に脚注1・2の形で若干のコメントを入れたが、それ以外にもっと大きな問題があることは明白である。

*1:相変わらず、同じことを繰り返している。この浅薄な認識については過去にもとりあげた。また、遺骨を埋め戻すことはreburialといい、repatriationと同義ではない。なぜこれだけ英語のままなのか。日本語にすると「埋め戻す」とならないからか?

*2:研究者の特権意識プンプンである。1行目にある「大学等の研究機関」もそう言って盗掘したり、わずかな金銭や物品で買収して遺骨を奪取したのではなかったか。その危険性を回避するために、そして外部の人間から聖域を守るために、ハワイイの事例などでも分かるとおり、秘密裡の場所に埋め戻されているのである。