AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

尋ねてみたかった質問集

 6月26日のシシムカ文化大学の講座にもし参加することができていたら、このような質問をしてみたかった。

 まず、篠田氏に対しては他にも多々あるが、多分その日の質問には出ないのではないかと想定した2つである。

①現在は政策推進作業部会のメンバーでもある本田優子氏の著書でも一部明かされているが*1、平取では遺骨だけではなく、過去に血液や尿といった人体組織の採取が人類学者や医学者によって行われている。それらから得られたデータ、すなわちアイヌの「被験者」の遺伝情報がデータバンクに登録・保存されているのだろうと思われる。いま返還の焦点となっている近代~現代のアイヌ遺骨から得られる遺伝情報、そして既にDNA解析によって得られた遺伝情報も、データバンクに保存されていて、「人類の遺産」の名において世界の研究者間で共有されているのか。それには誰が、どのような手続きでアクセスできるのか。

②篠田氏自身は、他の研究者が採取したアイヌの血液などから得られたデータを利用した経験はないのか。①のデータ(情報)は、将来に別の研究者によって別の研究目的で自由に利用され得るようになっているのか。

 アイヌ民族全体の将来に関わる政策決定の場に出ておられる阿部氏への質問は、また後で。

P.S.:阿部氏に出してみたかった質問は大別して6つになってしまったが、ここには1つ前の記事で書いた2つの要点の残り、「ルーツ」を知るためとか「歴史の解明」とかのために奪取された遺骨の分子人類学的研究を進めるという、北海道アイヌ協会と篠田氏らによって表明されている正当化に関連する質問を1つだけ出しておく。残りは、後でここに収納しておくことにする。

 さて、阿部氏に聞いてみたかった質問:
アイヌの遺骨を篠田氏らの研究に提供する理由として、北海道アイヌ協会と篠田氏らは、アイヌ民族の「歴史を解明」するためであると説明されています。現在、欧米諸国をはじめ、多くの国々で人の遺骨(全般)を研究材料とすることの倫理的問題がさまざまな分野の研究者によって盛んに論じられ、遺骨ではなく他の人体試料(例えば、髪の毛や現代人の口腔内粘膜から採取されたDNA)を用いて遺伝人類学の研究が行われていて、顕著な成果を生んでいるようであります。
 仮に北海道アイヌ協会が、現代のアイヌ民族の祖先が太古の昔から北海道に住んでいたことを証明したいという「歴史の解明」、それだけが目的なのであれば、どうしてこれほどに物議を醸している「奪取された」同胞祖先の遺骨を研究材料とし続けることを選択するのでしょうか。例えば、「歴史の解明」という趣旨を広く説明した上で、アイヌ協会の総会の時や、各地域のアイヌ協会の総会の時に、同意を得られた同胞から髪の毛や頬の粘膜を採取することで「歴史の解明」を行なうという方法だってあるのではないでしょうか。もちろん、私は、これに問題がないと考えているわけでもありませんし、また、これを無条件で勧めているわけではありません。対比の例として挙げているわけですが、どうして北海道アイヌ協会が「人骨」/「奪取された遺骨」の研究にそれほどまでにこだわり続けねばならないのかということをお尋ねしたいのです。

<続く。>