AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

これは、いつ公開されたのだろう?――第9回アイヌ政策推進会議「議事概要」

 読者諸氏は既にお気づきだったかもしれないが、私が気づかぬ間に、5月23日に開催された第9回アイヌ政策推進会議の議事概要(全8ページ)が公開されている。1カ月後として、6月下旬に公開されていたのだろうか。しかし、4月21日の第31回作業部会分が未だだ!アイヌ総合政策室は、なぜ公開日を明示しないのだ。恥ずかしくてできないのか!? 政策過程や後に歴史を研究する者にとっては、必要かつ重要な情報となるのだ、分からないのか!

 霞んだわが目を疑って、目を細めてよ~く見直した。あれだけ沢山の資料が配布された会議が、わずか30分だったのか。呆れた!(今までもそうだったが。)


 よく覚えておきましょう。

出席者:菅内閣官房長官、橘復興副大臣、阿部委員、石森委員、大西委員、加藤委員、菊地委員、佐々木委員、高橋委員、常本委員、丸子委員、八幡委員、横田委員、杉田内閣官房副長官、古谷内閣官房副長官

 はい、出席者の皆さま、これを暗唱できますか?「民族共生象徴空間交流促進官民応援ネットワーク等」(p. 2)

 事務局が説明の最後で「以上の内容について、アイヌ政策推進会議の審議を経た上で、政府に所要の措置をお願いしたいと考えています」と述べているのだが(p. 2)、「審議」は、「意見交換」(p. 3 以降)にすり替えられている。

 そしてまず、加藤理事長の発言:

○ イランカラプテ。ありがとうございます。
 私からは、官房長官へのお礼しかありません。何といいましても、アイヌに寄り添ってというその言葉。何といっても固定観念や先入観を払うのだと、この対応に、アイヌ全体で感謝しかありません。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 既に多くの国民が、北海道アイヌ協会に対する「固定観念や先入観」を払拭されていることだろうと思いますよ。

 これは、高橋知事であろう。(pp. 3-4)

 若干御報告を申し上げれば、ゴールデンウイークのころにハワイに行ってきまして、ハワイ州と北海道の友好提携のために行ったわけですが、その際にハワイにおける先住民族の方々に対する政策が大変先進的であるというお話を聞いていましたので、ポリネシア・カルチャー・センター(Polynesian Cultural Center)という、ハワイを含むポリネシア全体の先住民族のありようを展示しているところにも行ってきました。それからハワイ語。これもアイヌの言葉と同じように文字を持たない先住民族の言葉ですが、その伝承プログラム学校の状況も実際に拝見したところです。
 そういったことを一つ一つ参考にしながら、私どもも国の御指導をいただきながら、しっかりと、白老における施設整備に生かしていければと思った次第ですが、その際、私が一番感動したのは、このポリネシア・カルチャー・センターのショーがあるのですが、2,000人以上のお客さんを集めてのすばらしいショーです。言葉がわからなくてもストーリーが伝わるということを、ダイナミックなダンスと体いっぱいの表現力で、地元の若い人たちがオーディションを経てやっているということを伺いました。終わった後、彼らが大反響の中で、情熱を持って、はつらつとして、誇りに満ちた表情で、我々観客に接していた。
 こういうことが、今回のアイヌの文化発信に向けても大変重要だということを強く強く思ったところです。こういう問題意識も皆様方と共有できればと思う次第です。象徴空間の整備に向けて、私どもも地元白老町等とも連携を図るわけですが、開設準備と運営体制の整備に向け、道として道内経済界と一体となって積極的な役割を果たしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次も高橋知事の追加だろうか? それとも、加藤理事長?

○ もう一点だけ。
 一般公開するのは2020年の4月24日の大安の金曜日ということでお願いしたいと思っていましたので、よろしくお願いします。

 何もコメントは要るまい。読者には、特に下線部を吟味して戴ければよい。「問題意識」ねー。

 その次の人は、誰でしょうね? 3つの言葉に注目。
「北海道のアイヌ民族にも族種の制限があるのです。」⇒「族種」の意味が分かりません。
アイヌ民族側の歴史や実際に寄り添い、行政の不当監視等や過去の政府見解の見直しも含めて(略)」⇒なんとなく、どなたの発言か分かりそうですね。
「2020年には世界の国々から先進国日本先住民族政策が吟味され、評価されるものと思います」⇒「先進国日本」という思い込みも「吟味」し、「評価」し直しましょう。

 最近、メモ帳の機能がおかしかったのだが、ついに、このPCでは初めてだけど、突然、入力したものが失われてしまって、ここまで再入力した。それで遅くなってしまったので、ここで止める。

P.S.:もう少しだから続けて、終わらせよう。

「英語、スペイン語、フランス語でどうアイヌ文化を紹介するかということを、今から準備しておかないと(略)」(p. 7)➡肝心なアイヌ語はないの?

 最後に、菅内閣官房長官の挨拶である。

委員の皆さんから、大変貴重な御意見をいただきまして、感謝申し上げます。

結局、「審議」は何もなかった。
 ついでに、上の疑問を一つ解決してくれている。

先ほど加藤理事長、高橋知事から、開業日として2020年4月24日の大安吉日という御提案をいただきました(略)

 実は、この議事概要で私が探していた情報は、6月27日の閣議決定の件がここで「審議」されたのかということであった。菅官房長官は、「2015年6月に閣議決定をしました、「民族共生の象徴となる空間」の整備及び管理運営に関する基本方針を改正して、象徴空間の開業準備を遅滞なく進めてまいります」(p. 8)とは言っているものの、「異例施設」での遺骨の研究はしないということは一言もない。閣議決定が出された時、私は、アイヌ総合政策推進会議アイヌ政策推進会議の頭越しに決定されたのではないかと推測したのだが、果たして真相は如何に。

 最後に余談を一つ。F先生の笑い話だったので、小学校の5年か6年生の時、多分5年生の時だっただろうと思う。ある田舎出のお手伝いさんが、そこの奥様にある日、「奥様、帯がお垂れになっております」と教えてあげたそうな。すると奥様が、丁寧に「お」を付けて話しかけなくても良いと言ったそうな。
 またある日、奥様の帯が垂れているのを見たお手伝いさんは、後ろから「くさま、びがたれになってります」と教えた上げたそうな。奥様は、???状態だったとか。
 「議事概要」を読みながら、この話を思い出してしまった。

P.S. #2(07.11):今までは、官房長官挨拶は冒頭にあったのではないかと漠然と記憶しているのだが――調べる時間がもったいない――、ここでは最後になっている。ナンカ変だなと感じながら読んだ。たった30分の会議だが、最初からいたのだろうか。

 ところで、"AINU POLICY WATCH" watcherの読者から早速、指摘がきた。メール本文を直接引用しようと思ったのだが、編集が難しい。要点だけ書いておくと、菅内閣官房長官が言及している閣議決定は2014年ではなかったか、「議事概要」/菅が間違えているというもの。(最近は私も間違うから、この方は、まず「議事概要」で確認したとのこと。コピー&ペーストしているのだけど。)

 菅長官が言及しているのがこれ(2014-06-16 「民族共生の象徴となる 空間」の整備及び管理運営に関する基本方針(閣議決定本文))なら――他にないだろう――、たしかに間違っている。

 高橋知事と同じ感動と「問題意識」をちょっとだけ共有したい方は、ここここへどうぞ。
 このレベルの「問題意識」での「審議」しか行われていないことに、怒りを通り越して、笑いと涙しか出てこない。私が思うに、落語研究会の問題とどっこいどっこい、いや、むしろもっと酷いのではないか?

おまけ:
The Bobbleheads posted by Dwayne Wallen.

Hillary Clinton's nodding inspires bobblehead doll posted by CNN.

P.S. #3(07.12):今日は凶と出た! 無理するなとのこと。要注意かな。

 「アイヌ人骨研究利用に関する札幌医科大学への質問書」に対する同大学の回答書が公開されている。
 さて、北大開示文書研究会とコタンの会は、これをどう扱うのだろう。

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