AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

上の写真:ジュネーヴのサン-ピエール大聖堂からレマン湖を望む。

北海道アイヌ協会の今年の「国際先住民族の日記念事業」(rev. w/ P.S. X 4)

 相対的な影響力が自然人類学者から考古学者へ移ってきたということなのだろうか。それとも、協働関係は揺らいでいないということなのだろうか。(多分、後者だろうな。)
 第1部では、「遺跡」にダムを建設すること自体を「先住民族の権利に関する国連宣言」の観点から論じてもらいたいものである。
 第2部は、先日のシシムカ大学講座と北大アイヌ・先住民研究センターでの講演の再演ということのようである。ということは、少なくとも篠田氏と阿部氏は、閣議決定の一部変更何するものぞという態度なのだろう。*1
 それにしても、北海道アイヌ協会は、いつまでこの「記念事業」を外部の学者やそれに近い人たちばかりに依存して続けるつもりなのだろう。
 「先住民族から見る」って、サブタイトルは「ほぼ和人ばかりから見る」の方が良くはないか?
 「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択から10周年の今年の企画がこれだとは! おまけに、テーマと内容にさえ相当なズレが感じられる。誰がどの視点から「研究倫理」を論じるというのだろう。
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Source: here.

 暑いから今月はもう書かないつもりでいたのだが、書いたついでに書いておく。アイヌ総合政策室の役人たちは、早々に夏休みと決め込んだのか、4月21日の第31回作業部会の議事概要を3カ月と1週間経った今日もまだ公開していない!

P.S.(07.29):昨秋、常本氏の新聞での発言に激怒していた人たちは、どうなったのかね。「新法」をアイヌ民族で語り合わないのかね。国連の権利宣言採択10周年、前身のウタリ協会の国連初参加から30周年。その年の「記念事業」がまた、学者たちと一部の「幹部」にハイジャックされたサイドショー(余興)で終わること自体が、アイヌ民族が置かれている状況とこの国の「先住民族」政策の貧困を物語っている。
 北海道アイヌ協会には、こういう企画にしか予算が出ないのか? 他にアイデアがないのか? 他のテーマには出て来てくれる「先生」たちがいないのか? 講演者たちは、それぞれ自分たちのコミュニティ(学界)に向けて、「国際先住民族の日」の趣旨に合う企画を開催してはどうなのか。

 「国際先住民族の日」を8月9日にしようという国連の会議で、北海道ウタリ協会は、その日が長崎への原爆投下の日と重なることの意義も強調していなかったか? それを受けて、ダイス議長もそのことに言及しなかったか? 国連の「権利宣言」採択後のこの10年、北海道アイヌ協会の「幹部」たちは、そういうことに少しでも想いを馳せて「記念事業」を企画・運営してきたのだろうか。

P.S. #2(07.30):「あなたたちのDNAは、私たちの歴史です」という自然人類学者と、「あなたたちの遺跡は、私たちの観光と教育の資源です」という考古学者たち。そして・・・? まさに、"Contemporary colonialism at work"だ。
 アイヌ文化振興・研究推進機構がやるような講演会を、北海道アイヌ協会が肩代わりしている感じである。

P.S. #3(07.31, 0:40):『ウレシパ・チャランケ』No. 55掲載の松島泰勝氏の「琉球民族先住民族である」を許可を得てダウンロードできるようにしました。

P.S. #4(08.01):1つだけ知りたいことがある。
 篠田、阿部の両氏がシシリムカ大学(平取)で話をした翌日にドイツのアイヌ遺骨の返還のためと毎日新聞が書いた閣議決定の一部変更が決められた。この事業は、多分、もっと早くに企画されていたことであろう。両氏が閣議決定の変更部分をどう受け止めているのか、それに関してどういう見解を示し、今後どういう態度で臨むのか。それによって、このブログで扱うテーマも変わってくるかもしれない。

*1:ここで取り上げたように、政府は「海外からの返還『第1号』となる遺骨」の「早期返還実現のために閣議決定」を行ったというのだからな。この「事業」を聴きに行かれる方、特にアイヌの方は、阿部氏に「合意文書」についての見解を質問しましょう!(多分こう答えるでしょうという予想はよそうと思います。)