AINU POLICY WATCH

――In Light of the U.N. Declaration on the Rights of Indigenous Peoples――

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小山参事官、この事例は調査から漏れたのでしょうか(オーストラリア先住民族への土地返還)(rev.)

 6月28日に内閣官房の小山参事官との話し合いを持ったアイヌの参加者からの断片的な情報によれば、アイヌへの土地返還の話題が出たそうである。その時、小山参事官が——一応引用符を付けるが、これは間接的な情報なので、そういう主旨のことを言ったという程度に読んで戴きたいが——「世界で先住民族に土地を返した事実があるのですか? 自分たちが調べた限りでは世界で先住民族に土地を返還した事実はない」と言ったそうである。アイヌ側の出席者が「返還した事実があれば、日本もアイヌに返還するのか」と聞いたそうであるが、小山参事官からの返事はなかったそうである。
 他国がやっていないことを日本が率先して模範的にやるという選択肢は、「日本型先住民族政策」にはないかのようだ。ただ、参加者も質問したようだが、「他国に例があったらやるのか」と私も問いたい。それに、「他にも参考に出来ることが多々あるにもかかわらず、やっていないではないか。探りを入れるような質問ばかりしなさんな」と言いたいところである。
 まあ、全体の話の流れが分からないし、詳しい内容については、いずれ当事者から報告のようなものが出るであろうから、あやふやな段階でこれ以上は立ち入らないことにする。

 ただ、アイヌ総合政策室が調べた限りでは、世界で先住民族に土地を返還した事実はないとの発言が正確なのかどうか、是非とも知りたいところである。「ない」に対しては、1例でも示せれば「ある」ということになるだろうから、オーストラリアから1例を示しておく(The Guardian, 21 June 2016)。(これは、アイヌ総合政策室あるいは小山参事官の「先住民族への土地返還」の定義から外れるのであろうか。)
www.theguardian.com

 面積に3,000ヘクタールの違いはあるが、同じ土地返還を取り扱う記事である。
www.lifegate.com

 また、下の地図は、オーストラリア国立大学のジョン アルトマン教授によって作成されたものであるが、一目瞭然とはこのことであろう。非常に分かりやすい。1788年の時点では、今日の「オーストラリア」全土が先住民族のものだった。それが1965年には、事実上0となった。しかし、1960年代半ばから土地回復運動が徐々に進行し、1993年と2013年の時点でどうだったかが示されている。(この地図で解らなかったという人のために書くが、黒い部分が先住民族の土地である。)もちろん、1965年の時点より返還は進んでいるが、それが終わったというわけではない。上のThe Guardianの記事が取り上げているケースも、そのような流れの中で読まれるべきものである。 
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Jon Altman, "The political ecology and political economy of the Indigenous land titling ‘revolution’ in Australia," Māori Law Review, March 2014 (Indigenous Law Speaker Series 2014), p. 3.

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